…今後、川の下流域で線量が高くなる場所が出てくる。フライフィッシング専門誌『フライの雑誌』の堀内正徳編集長は言う。
「山は放射性物質を含んだ雨水を受け止めて保水しています。保水した中から一滴一滴が細い沢をすくり、沢が集まって川となって海に流れ込みます。川には流れの速い瀬とゆっくりたまる淵がありますが、淵は放射能のホットスポットになっている可能性があります。」
各地でアユやイワナ、ヤマメから高い数値のセシウムが検出され、出荷停止や釣り制限が行われている。
「放射能で汚染された泥をコケが吸い上げます。アユは石についたコケを食べて腹の中にたまります。また、スズキやヒラメなど捕食魚は稚アユを食べるため、長い目で見れば人間にも害がないとはいえない」…「放射能と長期に向き合って生きる覚悟が必要になってきたのだと思います」
…わが国は国土面積の3分の2にあたる2500万ヘクタールが森林で覆われ、世界有数の森林大国だ。いわばニッポン列島の〝肺〟を放射能で汚染してしまった我々の罪は大きい。
(『サンデー毎日』8月21-28日合併号〈放射能を溜め込む森林〉より/藤後野里子記者署名記事)
最初、記者さんから放射能汚染について、〈釣りへ行くときに釣り人が気をつけることはありますか〉と、聞かれた。「どうにも気をつけようがありません」と答えた。そのほか自分が喋ったことを上のような記事にしてくださった。
原発記事でがんばっている『サンデー毎日』の最新号の特集〈放射能を溜め込む森林〉は、アウトドア好きの人間には、一見センセーショナルすぎるタイトルに思える。でも読み進めるうちに、納得させられてしまう部分も見えてくる。本当に残念だ。ご一読を。
放射能相手には、がんばろうたってがんばれない。そして釣り人にとって釣りは人生そのものだ。だからどこの川でどんな思いで釣りをするか、それは釣り人それぞれの哲学になる。