この雨が上がって増水がほんの少し落ち着いた時、多摩川中下流域(二子玉川から登戸にかけて)の、マルタウグイの遡上のピークが来る。5年前までの6年間、わたしは多摩川沿いに暮らしてシーズン中は毎日マルタウグイを追いかけていた。そのわたしが保証する。
そのころわたしは〝多摩川でもっともたくさんマルタウグイをフライで釣っている男〟を自称していた。
この季節のマルタウグイのフライフィッシングは、ポイントと釣り方のちょっとしたコツを知っていれば、10倍20倍に楽しみが増す。
『フライの雑誌』第61号(2003年5月)に、「フレッシュ・マルタを狙え! 今年も多摩川はでかいマルタウグイで埋めつくされた」という記事がある。わたしが書いた。マルタウグイへの愛があふれている記事だ。
そこではマルタウグイの釣り方について必要以上に具体的にくわしく解説している。もしよかったら読んでください。と思ったら品切れだ。ざんねんです。
下の写真は、釣り雑誌で初めて多摩川のマルタウグイのフライフィッシングを紹介した、『フライの雑誌』第57号(2002年5月発行)の「海から来た魚」というタイトルの記事。文と撮影は、当時の、故中沢孝編集長だ。
ここに写っている60センチオーバーのマルタウグイは、じつはわたしが釣った。(ちょっと自慢)。それが証拠に、フライロッドもリールもわたしのだ。
もう病にかかっていた中沢さんが、角度を変え、光線を変え、露出を変えて、しつこく、本当にしつこくマルタをポジフィルムで撮影していたのが印象に残っている。タイトルにも含みがあるような気がしてならない。
釣り人は自由に時間を行き来する旅行者である。この釣りもつい先週の多摩川のようだ。