(製作者から)
自作のソフトレザーリールケースを販売します。購入希望者はフライの雑誌社にメールしてください。その後こちらから直接メールします。サイズ表記は直径、(側壁の)高さとも縫い合わせ位置のサイズです。大体の場合側壁部分が折曲がるので、実寸で直径は数ミリ大きく、高さは数ミリ程度低くなります。ほとんどの場合、裏側や切断面も簡単に処理済み。クッション材は本ムートンです。※リールが写っているのはサイズ比較のためです。当然ですがリールケースのみの販売です。(斉藤良文)※写真キャプションは本人
(編集部から)
カブラー斉藤氏(斉藤良文氏)は、『フライの雑誌』の連載陣のなかでも古株の寄稿者です。第96号の連載〈人生にタックル38 欲しいものは「俺が作る」〉ではシャツや貝ボタン、革製リールケースなどを作り、自分がどんなに工夫したかどれだけ苦労したかをこと細かにしつっこく語ってくれました。まさに「必要以上に」という形容がふさわしいくどくどしさでした。
今回の革製リールケースですが、原稿掲載前に現物を見せてもらったら出来がよく、斉藤氏がもう何年も失業中で極貧生活を送っているということもあり、つい、「うちのウェブサイトで紹介してあげるから、売ればいいじゃん」と言ってしまいました。今回の斉藤氏の原稿中に「『フライの雑誌』のホームページで販売してもいいよと言われたので…」と書いてあるのはそのためです。その後、ひと月以上斉藤氏からの連絡がまったくなくすっかりこちらも忘れかけていた昨日になって、いきなり大量のリールケースの写真と、例によってしつこいキャプションが送りつけられてきました。「遅くなりましたがよろしくお願いします」とごくシンプルに付記してあります。これは「紹介しろ。」ということなのでしょう。しかも勝手に販売方法まで指定してあるという手回しのよさです。
さて、わたし(堀内)は何の因果か、斉藤氏とは20年近いつきあいがあります。カブラー斉藤氏の原稿を面白がってくださっている方々は納得してくださると思いますが、斉藤氏は寄稿者としても友だちとしても、正直とてもつきあいづらい相手です。その一例をご紹介します。
先だって、わたしは原稿の打ち合わせのために池袋の釣具店で斉藤氏と待ち合わせをしました。彼はいつも待ち合わせに遅れるか、ときどきすっぽかします。そこであらかじめ約束の1時間前に彼に電話をしてまだ寝ていたのを起こして、先にお店で待っていました。そこまでやっても、斉藤氏は約束に2時間も遅れてきました。そういう彼の非常識をいつものことだからと許すわたしもいけないと思います。しかしようやく現れた斉藤氏は少しも悪いと思っていなさそうな感情のこもっていない「すいませんねぇ」というひとことで終わりでした。やはり斉藤氏の神経を疑いたいところです。
そのころ、わたしは自分の不注意で膝を骨折する怪我を負っていました。歩くだけで激しい痛みが走るので、がんばってもゆっくりとしか歩けない状態でした。やっと着いた斉藤氏とともに、じゃあお昼ご飯を食べに行こうかと二人で歩き出しましたが、あまりに痛くて、先を行く斉藤氏の歩きにどうしてもついていけません。立ち止まって膝の痛みに耐えていると、斉藤氏はとつぜんふりむいてひとこと、「遅い!」と一喝してきました。もちろんわたしが怪我していることを斉藤氏は知っています。それなのに「遅い!」と怒るとはなにごとでしょう。自分は2時間遅れてきたくせに。そういう男です。
さて、くされ縁と言いますが、わたしは斉藤氏とは過去いっしょに北海道や東北、中禅寺湖などあちこちの釣り場で遊んできました。だからといって、今回のようにカブラー氏のリールケースを紹介するためにフライの雑誌社のサイトを使って、貴重なレンタルサーバのスペースを割くのは、公私混同とのそしりはのがれられないと自覚しています。まあそこはそれ、洒落ということでご容赦ください。カブラー斉藤氏本人は、下のキャプションを見れば分かるようにおおまじめで、しかも今回の原稿にもあらわれている通り、物づくりへの執着はちょっとビョー的なほどで(だから面白いのですが)、仕上がりも相当なレベルだと客観的に思います。
というわけで、〈カブラー斉藤の手製リールケース〉について、ご興味のある方は info@furainozasshi.com までメールをお送りください。責任を持ってカブラー斉藤氏に転送します。もっとくわしいリールケースの情報や、物の引き渡し方法など、あとはカブラー斉藤氏と直接やりとりしてください。大丈夫、世間的にはちょっとヘンですが、本質はいたってまじめな男です。(編集部 堀内)
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手製リールケース(写真と文・斉藤良文:くわしくは第96号の連載記事を)