サクラマスが遡る山形県の小国川には、小国川ダムの建設計画がある。建設主体は山形県だ。
問題の多いこの小国川ダムに関しては、単行本『桜鱒の棲む川』(水口憲哉著/フライの雑誌社刊)でもとりあげた。
流域を管轄するのは、全国有数の優良内水面漁協である小国川漁協だ。小国川漁協は、一貫して小国川ダム建設に反対している。
小国川漁協の10年切り替えの漁業権は、2013年末に切れる。
小国川漁協に対して、これ以上ダムに反対するなら、漁業権を不許可にするぞと、漁業権が切れるぎりぎりのタイミングで、山形県が脅している。
ダム建設を強要するために、漁業権の許認可を持ち出す山形県のやり口は、許されることではない。
こんなことは全国的にももちろん例がない。ありえない。
追記1 12/18 ダム建設に反対するなら漁業権を与えないぞと〝恫喝〟する山形県の役人。小国川ダム建設への賛否は漁業権認可に関係ないと記者の前では発言している。しかし議事録では「流水型ダム、具体的には小国川漁協でございますが、そういった者に対しましては、」と小国川漁協を名指しで非難。小国川ダム建設予定地の映像も。
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追記2 12/19 朝日新聞も追いかけて報道した。山形県に理はない。
県はダムの完成時期を2015年と定め、ダムの周辺工事を強行。しかし、ダムの本体工事には小国川漁協の同意が必要で、本体工事に着手できない状態が続いている。…ダム建設に向けた圧力ともとれる山形県の対応に、漁協側は反発を強めている。
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追記3 「川と温泉の振興策を考える全国集会IN小国川」へのメッセージ 2013/9/27
地元の小国川漁協は一貫してダムを拒否しています。にもかかわらず、山形県は「ご理解ください。話し合いましょう。」と言いながら、ダムの周辺工事をどんどん進めています。揉み手で近づいてきながらヒザで金的を狙ってくるような、卑怯で不誠実なやり口だと思います。(フライの雑誌社 2013/9/27)
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追記4 「月刊つり人」山根編集長のコメント 12/18
山形県は漁業権の強制収用は難しいと判断し「そもそも漁業権を付与しない」という前代未聞の暴挙に出たわけです。このような暴挙がまかりとおるような国に明るい未来は決してないと断言できます (最上・小国川漁協 漁業権消失の可能性 12/18)
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追記5 『フライの雑誌』編集部から 12/19
山形県による〝小国川漁協いじめ〟が世論の反発を呼んでいる。せっかく盛り上がっているのにしちめんどくさいことを言うようだけれど、日本全国の漁協がすべて小国川漁協のように、河川環境に自覚的で、漁協運営に自律的で、行動的なわけではない。現行の漁業法、漁協のシステムには問題がたいへん多い。漁協=善、では決してない。全国の漁協が本来的に機能してきたならば、日本の川はこんなひどいことになっていない。漁協と水産行政の問題点について、わたし(堀内)は、『フライの雑誌』の連載〈日本釣り場論〉でずっとしつこく追いかけている。本誌読者の方には理解していただけていると思います。
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追記6 山形新聞の続報あり。 12/20
漁業権認可をネタにダム反対の漁協をゆすっている山形県。漁協がダムに反対し続ければ絶対にダムはできない。山形県はそれを知っている。
権力を利用して自分たちに都合のいい〝配慮〟を弱い立場の漁協に強要する山形県のダム推進行政こそ、反社会的勢力そのものである。到底ゆるされるものではない。
…漁業権の条件とされる「公益上必要な行為への配慮」の裏付けとして、漁協は考えをまとめた回答案を初めて文書で提示。「県との話し合いを続ける」との文言が含まれており、問題は解決に向けて一歩前進した。県は回答案を精査し、漁協との調整を続けながら年内の漁業権付与に向けた対応を急ぐ。
…「配慮」の具体例について、県は▽治水や内水面漁業振興に関する県の説明を聞くこと▽話し合いに応じること▽測量、影響調査を妨げないこと―とし、「公益」の一つと位置付ける最上小国川ダム計画に反対している漁協に対し、これら「配慮」を確約するよう求めていた。
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追記7 12/20
小国川ダム問題で小国川漁協の記者会見を山形県農水部が妨害していた。報道されていない内情を山形県議の草島進一氏が告発。
…20日に19日の報道を見て「真実と違う」と感じた漁協が19日の夜に20日県に申し入れをし、記者会見をしようと決め、報道機関にその旨を伝えたのが午後10時を回っての話だったそうだ。就寝についていた組合長のところに深夜11時に電話が鳴り、でてみると阿部戦略官。「明日行く」などという。渋々受け入れることになり、朝から待っていると11時過ぎに山形県農林水産部阿部戦略官がやってきて県の言い分を漁協からの意見書にいれたものをもってきたそうだ。結局それによって県庁での記者会見がまたつぶされた。僕はさすがに驚いて農林水産部長に「なに卑怯なことをやっているんですか、阿部次長は何やっているんですか。なんで組合に今日も行っているんですか」と正した。「組合長に呼ばれた」と聞いていると部長。「深夜に電話をして無理矢理行ったんじゃないのか?確認して二人で報告してください」その後、音沙汰なしである。要するに県は2度も続けて漁協が行おうとした行動を阻止した。
(草島進一山形県議 facebook)
今般の山形県の行為は行政手続きを著しく逸脱した不法、不当行為であり職権の乱用行為ではありませんか。文書での回答を求めます。
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追記8 12/21
まさのあつこさんの独自取材と分かりやすい解説。
山形県は、「漁業」という公益と、「治水」という公益の調整に失敗。そして今、「漁業権」を人質に、その剥奪をほのめかすというテロリストのようなやり方を始めている。
日本の漁業は、たとえその地域で漁業を生業としている人たちが守ろうとしていたとしても、このように裏舞台で、免許権を振りかざされ、脅されてつぶされてきたのではないか、そんな漁協が他にもあるのではないか
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追記9 12/23
山形県の言う「交渉のテーブルにつく」とはダムを容認しろという意味。今回の山形県のやり口には批判が集中した。ダム推進側の本質が表沙汰になったことで、小国川ダム建設はやりづらくなったのではないか。
今回の問題で県は、免許更新の条件として「公益上必要な行為に対する配慮」を設定している。ダム建設反対の姿勢を貫く同漁協に対して、交渉のテーブルにつくことなどを求めており、両者が協議を続けていた。
22日午後の会談終了後、若松部長は「ダム建設も含めた治水対策と漁業振興の両立のために、それぞれ向き合って話し合いをしていこうと伝えた」と話した。
(読売新聞 12/23)
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追記10 12/23
「小国川漁協の漁業権更新なるか 25日に県内水面管理委」
今回の問題は、県が今年5月に告示した2014年1月から10年間の漁場計画に「公益上必要な行為について十分に配慮しなければならない」とする条件が追加されたことに端を発している。(山形新聞 12/23)
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追記11 12/24
山形県は漁協など漁業権で脅せば、かんたんに押しきれると思っていたのだろう。そこがまさに山形県の横暴であり、ダム建設側の本音だ。公益は住民・利用者みな平等に図られてこそ公益である。小国川漁協は権力の横暴に屈せず、ダム反対を貫いて全国の注目を浴びた。山形県は今回の暴力的な強要で、当然だがかなりの批判を受けた。山形県に理はない。小国川漁協へ漁業権を認可するかどうかを決める山形県内水面漁業調整委員会は、25日に開かれる。
漁協「公益に配慮」 漁業権更新へ県に回答書
沼沢勝喜組合長らが県庁を訪れ、五十嵐和昌県水産課長に手渡した。ダム建設などの治水対策と漁協活動をともに「公益事業」と指摘。「公益がぶつかった時は、話し合って解決策を見いだすべきだ」とした。
ダム計画自体は「自然環境は金では買えない」「県の説明は信じられない」などと疑問視し、反対姿勢を崩さなかった。(太字引用者)
沼沢組合長は提出後の取材に「県から協議の場への参加を求められれば、可能な限り出
席する」と明言。「漁業権が更新されない事態はあり得ない」と自信を見せた。
(河北新報 12/24)
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追記12 12/24
小国川ダムでの山形県の漁業権人質の件、だいたい内水面において、申請のあった漁協の漁業権を行政(漁場管)が却下したことなんて、今まであったのか。実質的にセレモニー化している漁場管の諮問を振りかざすとは、ダム建設のためには何でもする山形県のあくどさが際立つ。
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追記13 12/24
山形県草島県議がさらに公開質問で追い打ち。
阿部技術戦略監の19日の記者会見での発言は「虚偽」だったのではないでしょうか。なんのためにそのような行為に及んだのでしょうか。特に「ダム建設を前提とした測量や環境影響を妨げないこと」とはダムサイトの河川内に杭を打つ事。つまりダム建設の容認と受け取られかねない重大事であります。漁協との協議にその事実がないにもかかわらず、県の虚偽の説明によって報道させ、その重大事を既成事実化しようとしたのではありませんか。
(草島進一県議の公開質問状 12/24)
山形県のウソが真実なら相当に悪質だ。ところが山形県は実際にウソをついて報道陣を騙そうとしたのだから困ってしまう。
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追記14 12/24
山形県知事 12月24日定例記者会見 言語の意味不明。
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追記15 12/24
25日の山形県内水面漁業調整委員会、前日ドタ延期! の情報が流れたが、結局、12/25 14時県庁1003号室で開催とのこと。山形県ずんどこ。
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追記16 12/25
今朝の読売新聞に「問題収束へ」の誘導報道。山形県は自分でつけた火消しに躍起だ。吉村知事はダム建設を強行したい役人と業者の代弁者のようにみえる。
県が計画している最上小国川ダム(最上町)の建設に反対する小国川漁協(舟形町)の漁業権問題で、県は24日、漁業権の免許更新に関する意見を知事に答申する県内水面漁場管理委員会を25日に開催することを正式に決めた。県内全17漁協の免許更新などが諮問される予定で、小国川漁協の漁業権消滅は回避される見通しとなった。
同委員会は漁協関係者や学識経験者らで構成され、漁業権や漁のルールなどに関する知事の諮問に意見を答申する。知事は委員会の意見を踏まえて認可するかどうかを判断する。同委関係者の1人は24日、同漁協の漁業権更新について、「普通に考えれば問題ない」との認識を示した。県幹部も「この問題は収束する可能性が高い」と述べた。
これに関連し、吉村知事は24日の記者会見で、「最上小国川流域の安全安心を確保する治水対策と内水面漁業の二つをできる限り両立させていくことが大事だ」と強調。自然保護団体などからの「漁業権を盾にダム建設を進めるのか」との批判に対しては、「盾に取るとか取らないではない。誤解されないようにしていきたい」と理解を求めていく姿勢を見せた。
ただ、漁協側が求めるダム以外の治水対策を検討する可能性については、「(ダム以外の治水対策への)方向転換は今まで検討してきたことがあるので難しいのではないか」と否定的な見方を示した。
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追記17 12/25
山形県がガタガタやってる内水面漁場管の件、通常はシャンシャン諮問の儀礼そのもの。事務は県が仕切り委員も県が決める。その割に強大な権力があるからこそ、山形県は漁場管を利用して小国川ダム建設を強要しようとした。内水面漁業行政のあり方を根本から変革すべきだと『フライの雑誌』はずっと書いている。
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追記18 12/25
山形県内水面漁場管理委員会。傍聴者23名だそうだ。そんなに〝盛大な〟内水面漁場管は聞いたことがない。傍聴者にはいっさい発言権がないのが通例。
以前わたしが東京都内水面漁場管理委員会を傍聴した時は、冒頭で議長が写真撮影と録音の禁止を宣言した。ちなみにその時の傍聴者はフライの雑誌社だけだったので、明らかにわたしを、ね・ら・い・う・ち。そんなに隠したがるほど意味のある中身を喋ってるとは思えなかった。
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追記19 12/25
25日午後2時から開かれた山形県内水面漁場管理委員会は、議論なしで小国川漁協の漁業権を認可。漁業権認可を盾にとってダム反対の漁協を脅した山形県行政は、全国的な世論の批判を受けて、なにも言えずに逃げ出した。まったく情けない。
漁協がダムに反対しつづければ、ダムはできない。ダムをやめれば、サクラ咲く。
(『桜鱒の棲む川』より)
諮問について 第一について17漁協の漁業権の免許の適格性について認めることに異議なしと簡易採決で全員了解とのこと。
(草島進一山形県議 @kusajima の内水面漁場管理委員会実況)
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追記20 12/28
「小国川ダム計画の見直しは、現在の山形県行政の功績として後世に記録されるだろう。」 (フライの雑誌社・堀内正徳)
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追記21 2014/01/28
最上小国川流域の治水対策等に関する協議が最上総合支庁でおこなわれています。会議は非公開。議員の調査としての傍聴も拒否。資料は漁協側、県側で提示。14:30より16:30。終了後の会見も同席拒否。(草島進一山形県議のfacebookより)
山形県は会議の公開を拒否。密室で行われる〝協議〟は脅迫とどこが違うのか。
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追記22 2014/02/12
ダム建設に反対 小国川漁協組合長自殺
…漁協が「公益に十分配慮する」と明記した文書を県に提出したことで漁業権は更新されたが、県は中断していた協議の再開を要求。漁協が応じる形で、1月28日に初会合が開かれた。沼沢組合長が命を絶った10日は、第2回の協議に向け、漁協で県との打ち合わせが予定されていたという。
しかし、この協議は県側にとって、ダム計画への漁協の理解を得る場。漁協側の求める「ダムによらない治水対策」の再検討には否定的で、吉村美栄子知事はこれまで「しっかり説明し、理解を頂きたい」と繰り返している。
関係者は「年末からの一連の騒動で、組合長に深刻な疲れがたまっていた」と口をそろえる。
… (朝日新聞 2014年2月12日)
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2012年11月収録
〝漁業協同組合はダムを作ってもらっては困る。ダムを作る正当な理由があるならば、反対だけをするわけにもいかない。しかしダムに代わる何らかの対策があるのならば、ダムへ反対し続けてもいいのではないか。わたしたちは反対のための反対をしているわけではない。ちゃんと皆さんに理由を話せば分かってくださるはず。〟(要旨)
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追記23 2014/02/19
2月18日、約20名が山形県庁で「抗議と要請」提出・記者会見
去る2月10日、アユで知られる最上小国川を守り抜くことに精魂を傾けてきた沼沢勝善 小国川漁協組合長が自死されました。
「最上小国川の清流を守る会」と「水源開発問題全国連絡会」は、この問題の本質は「ダム無し治水」を訴える 小国川漁協に対する、その漁業権更新拒否をちらつかせながらの山形県の最上小国川ダム建設への同意強要にあると捉え、2月18日午後に山形県知事への「抗議と要請」を行いました。その事前に記者会見を持ちました。…
山形県のこのようなやり方を許せば、日本中の川は時の行政の思うがままに扱われて破壊されてしまいます。沼沢組合長の遺志を継ぎ、「ダムなし治水」の実現をこの小国川から目指しましょう。(水源開発問題全国連絡会)
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追記24 2014/02/20
2/18、ダムによらない治水を懇願している小国川漁協は山形県へ「抗議と要請」を提出した。地元漁協のはっきりとした意向を無視するかたちで、2/20に示された平成26年度当初予算には、小国川ダム工事費がいけしゃあしゃあと計上されている。
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追記25 2014/02/21
山形県は、【山形県 生物多様性戦略(案)に対する意見募集】パブリックコメントを始めた。山形県は、漁協を踏みつぶして、ダムをゴリ押しして、なにが生物多様性か。生物多様性をもっとも破壊しているのは、他ならぬ、ヒトである。
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追記26 2014/04/04
ダムに反対するなら漁業権を不許可にするぞ、 と山形県が漁協を脅した結果…
|全文公開(『フライの雑誌』第101号掲載記事)
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追記27 2014/04/10
吉村美栄子山形県知事は、サクランボなんか被ってないで「最上小国川ダム問題に関する公開質問書」に答えなさい。県が漁協を脅してダムを強要した結果、自殺者まで出ている事実にほおかむりして、サクランボのかぶりものとはひどい。山形県のイメージをわるくしている。
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> 山形新聞 12/18(初報道)
県は県内内水面の28漁場の漁業権を17漁協に与えている。10年ごとに更新され、今期は今年が最終年。県は次期(2014年1月~23年12月)の漁場計画(免許の内容)を今年5月に告示し、全17漁協が7月末までに申請している。
漁業権更新に当たり、県は初めて「公益上必要な行為について十分配慮しなければならない」との条件を付けた。さらに「公益上必要な行為」として当面予定されている各漁場の治水工事計画も明示。小国川漁協が更新を希望している最上小国川を含む最上町と舟形町の河川の漁業権にも同様の条件を付け、最上小国川ダム工事計画を明記している。
免許更新と同時に、漁業権の公使規則というものも知事認可する項目でありますので、こちらのほうにですね。漁業権を行使する上で必要な部分ということで交わった条件を付けさせて頂いて、それを同意して頂いて申請して頂いておりますし、それ以外にはですね。具体的には様々な流水型ダム、具体的には小国川漁協でございますが、そういった者に対しましては、どのようなかたちで公益的な配慮をしていただけるか。
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> 朝日新聞 12/19
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> 朝日新聞 04/04/09
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