日光湯川禁漁区拡大騒動の真相/〝釣魚券〟を全国コンビニの自動発券機で販売?

禁漁区拡大騒動の大元を確認する

今春の日光湯川「禁漁区拡大騒動」について『フライの雑誌』最新89号誌上と本欄で過去数回にわたって報告した。その後小誌は取材をさらに重ねてきた。それによると今回の騒動の大元は、せんじつめればこういう構図だ。

釣り人の存在を快く思っていない一部の奥日光利用者が、湯川を管理する水産総合研究センターおよび全内漁連サイドへ、従前よりクレームをつけてきていた。それに対して今春の「湯の湖・湯川研究推進協議会」の場で突然、水産総合研究センターが「禁漁区拡大」を提示した。全内漁連はそれに追従してHPで告知した。

だが「禁漁区拡大」発表の強引さと説明不足に、多くの湯川利用者、および水産サイドの身内筋からも批判が噴出。あわてて水産総合研究センターは方針を転換し、5月22日に全内漁連へ〈日光湯川の禁漁区拡大の白紙撤回〉を発表させ、今に至るというのがここまでの流れのようだ。

「白紙撤回」はむしろ始まりだ

当初水産総合研究センターが示した禁漁区拡大の理由には、釣りによる湿原への影響とあった。だから後に禁漁区拡大を白紙撤回したとはいえ、この問題がそれで終わるはずはない。

湯川での釣りを快く思っていない側にとってみれば、せっかく釣り規制を打ち出したのになぜ今さら白紙撤回するのかと、不満が募る。むしろこれを契機にさらに厳しい釣りへの制限を導入しようと考えるだろう。

いっぽう水産総合研究センターはそもそも自分たちが釣り規制を言い出しているのだから、いっときの反発が収まれば、またぞろ規制を持ち出してくるとも限らない。日光湯川「禁漁区拡大騒動」は収束したわけではなく、むしろここからが本番なのだと考えた方がいい。

湯川〝釣魚券〟を全国コンビニの自動発券機で販売?

ところがつい先日、全内漁連はこんなことを発表した。

「7月30日~9月30日までの期間、湯の湖・湯川の釣魚券が全国のコンビニで購入できます。」。全国のセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの自動発券機で、湯の湖・湯川の〝釣り券販売を試行〟するのだそうだ。
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改めて湯川での釣り人の位置づけを、全内漁連のHPで確認しよう。「独立行政法人水産総合研究センターが自然環境に配慮した水産業の振興を図るために湯の湖・湯川において実施している試験研究を推進するために実施する事業です。つまり、試験研究に必要なデータを収集するために釣り場管理を行っているわけで、本会としては「釣り人は試験研究の協力者」と認識しております。」と明記されている。

湯川での釣りは「研究の協力者」である釣り人が、なぜか一日2000円(5/2以降)という高額な「釣魚券」を支払って釣りをさせていただているという、珍妙なシステムである。試験研究のための〝釣魚券〟を営利事業者である全国のコンビニを通じて販売するなどとは、二重三重の矛盾ではなかろうか。全内漁連はHP上で公開していないが、この発券システムの開発業者はJTBの関連会社であることが分っている。

全内漁連は湯川をどうしたいのか

じつは全内漁連が自ら認めているように、湯川の〝釣魚券〟には法的根拠はない。しかもその使途の内訳はこれまで公式に発表されてきていない。つまり全内漁連は法的な裏付けのないお金を、いまだ使い道も明かさぬままに、全国のコンビニを通じて釣り人からさらに大々的に集めようとしているわけだ。筋が見えづらい。

各方面に大きな波紋を投げかけた湯川の「禁漁区拡大騒動」の最中にあって、全内漁連はなぜこのような問題の多い新事業を進めるのだろう。

また全内漁連に湯川を管理委託している水産総合研究センターは、このコンビニ発券についても当然事前に了承済みだと考えられる。水産総合研究センターは湯川で行っている試験研究と関連させて、このコンビニ発券をどう説明するのか。もし外部から批判を受けたときにどう対応するのか。突っ込みどころは満載なのだ。

日光湯川は日本の近代100年の釣り文化史のなかで、ひじょうに重要な位置をしめている。釣り人は一人でも友人どうしでも、あるいは家族や子ども連れでも、国内でも特異な条件下での釣りを自然環境との調和をはかりつつ、長年にわたり実質的に利用してきた。湯川はいま一部関係者の事情と都合で振り回されている。

『フライの雑誌』では日光湯川の現在と今後について、引きつづき取材を進める。

※本件について、読者の皆様からのご意見と情報を求めます。 info@furainozasshi.com/tel.042-843-0667 まで。

(文責:『フライの雑誌』編集発行人 堀内正徳)

日光湯川 青木橋下流(2010.7.28撮影)