●7月29日付けの本欄で、今春からの日光湯川「禁漁区拡大騒動」の真相と、「釣魚券」を全国コンビニの自動発券機で販売する全内漁連の新ビジネスについて記した。すでに7月末から日光湯川の「釣魚券」は全国のコンビニで扱いが始まっているが、その後、全内漁連のホームページには追加説明が記載されていない。
●具体名を明らかにすると、全内漁連がこの新ビジネスを始めた相手は、株式会社JTB法人東京 第四事業部『遊漁券販売デスク』電話番号03-5909-8483 さんである。7月に発行された全内漁連の機関誌「ぜんない」の31頁に「JTB遊漁券販売システムのご案内」として公に明らかにされている。JTB担当者さんの個人名とメールアドレスもはっきり書いてある。インサイダー情報でもなんでもない。
●「ぜんない」17号には『遊漁者の増大に結びつく話として、また漁協の運営にも寄与するものとして推進したいシステムですので、ご希望の漁協でも検討してみてはいかがでしょうか。今後、JTBから県漁連や漁協に相談したいとの意向もありますので、その節には説明を受けられることをお奨めします。』とある。全内漁連はJTBと組んで全国の漁協へこのビジネスを売り込みたい腹のようだ。
●昨年度、湯川でお金を払った釣り人の数は約3100人。平均単価2000円として約600万円以上のお金が全内漁連に入っている。改めて問題を提起したいのは、全内漁連によって集められたこの巨額なお金の使い道が、一切私たち釣り人に明かされていないことだ。(湯川の利用者数は公開されている)
●通常の漁業権にもとづく釣り場ならば遊漁料収入の使途は行政によって指導管理されているが、日光湯川の場合はノーチェックだ。全内漁連は湯川には放流をしていない。環境省との絡みがあるため釣り場の環境整備もしていない。トラブルがあったときに釣り人の権利を守ってくれるわけでもない。全内漁連が湯川で得た過去12年間の収入約1億円は、いったいなんに使われているのだろう。しかもこの「釣魚料」に法的な根拠はないのだから驚く。
●「禁漁区拡大騒動」が大問題となり、利用者の大規模な署名活動まで起こったこの大切な時期に、水産総合研究センターと全内漁連はなぜ自らの問題点を修正する努力もせずに、湯川へ「JTB遊漁券販売システム」のような新事業を導入するのか。あまりにも無神経すぎないか。また全内漁連はなぜホームページではあえてJTBの名前を隠しているのだろう。知られると困ることでもあるのかと勘ぐりたくなる。
●日光湯川は国民の共同財産である。しかしじつは、全内漁連に湯川を管理委託している水産総合研究センターも全内漁連も、国(水産庁)に使用料を一切払っていない。これまではその構造は一部の人にしか知られていなかったが、今回の「禁漁区拡大騒動」をきっかけに多くの人の知るところとなった。もとはといえばこの騒動は水産総合研究センターが自らまいた種である。グレーならグレーで肩をすくめていればいいのに何を考えているのか不思議でならない。
●あまり知られていないが、全内漁連の日光支所は、水産総合研究センター日光庁舎の敷地内にある(住所が同じ)。そして全内漁連および水産総合研究センターへは、水産庁の役人が多数天下っている。この三者の関係をずぶずぶの利権のもたれ合いと見るか、古き良き時代のおおらかな繋がりと見るか。水産総合研究センターは事業仕分けの候補にもなっている。
●いずれにせよ、釣り人は過去100年間と同様、今まで通り湯川で釣りをしたいだけだ。百歩譲って相手がべつにグレーだってかまいやしないのだが、あまり釣り人をないがしろにすると色々対応を考えますからね、というわけである。
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(文責:『フライの雑誌』編集発行人 堀内正徳)