このタイイングシザーズの開発にあたっては、都内関東在住のヘンタイ的フライフィッシャーが10数人も顔を寄せ集め、それぞれ勝手な意見と要望をぶつけたせいで、完成まで足かけ2年以上もかかりました。試作品は数知れず。なんでそんなことをわたしが知ってるかというと、そのどヘンタイの連中のなかに自分もすこし混ざっていたからなんですねえ。ヘンタイですみません。
一丁の価格は安くありませんが100号の誌面コラムでも紹介した通り、まさに異次元の切り心地と、完ぺきなアフターケアが保証されています。同等品の高級美容バサミを考えれば、はるかに安価です。それに道楽の道具に価格が高いの安いので悩むのは野暮というものです。(いま自分がおそろしいこと言った気がする)
仕上げ、外箱、付属品など、まるで宝石のようなアッセンブリーです。自分で使うのもいいですが、誰かにプレゼントしたらのけぞられること間違いないでしょう。そういう特別なタイイングシザーズです。
本誌の長い読者はご存じのように、川本氏は「風 磊人(ふうらいと)」名義で、本誌にもこれまで多くの寄稿をしてくださっています。とくにフライキャスティング、バンブーロッドビルディングに関しての川本氏の記事は独特の表現力と相まって高い人気があります。第100号では、編集部に思うところあって、ご本名でのご寄稿をお願いしたところ快諾してもらいました。読者カードでも、今回の川本さんの「フライ業界サイドビュー」がヨカッたという声がすでに何通か届いています。
イナガキさんの運営するwebサイト「ビンテージ・ユーズド コーナー」を一度ご覧ください。なるほどこれが今の日本のフライフィッシング事情かと納得すること請け合います。川本さんが書いていると思われる各商品への説明書き(うんちく)は一読の価値ありです。〝たかが遊びの道具〟にこれだけ語れるフライフィッシングってやっぱりいいよなあと、すれっからしのおっさんもワクワクしてきます。