茨城県立茨城自然博物館で、島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム』と新作シマザキフライを展示!

茨城県坂東市にある〈ミュージアムパーク 茨城県立茨城自然博物館〉は、15.8ヘクタールに及ぶ広大な敷地に立地した人気の博物館だ。周辺にはなつかしい里山的環境が広がっている。なかでも近接の菅生沼は首都圏で屈指の野鳥の観察地として有名である。

その茨城自然博物館で、現在〈昆虫大冒険 タケルとケイの不思議な旅〉と題した企画展が開かれている。〝…地球上に生息する種数は100万とも300万ともいわれ,その種類の多様性もさることながら,生き様も千差万別で,あらゆる場所でさまざまな工夫をしながら生きている昆虫たち。…タケルとケイといっしょに,昆虫ワールドへ冒険旅行に出発しましょう! 〟(案内より)

フライフィッシャーは基本的にムシ大好きである。だから昆虫とか冒険と言われるだけで、年がいもなくワクワクしてくる。今回紹介するこの〈昆虫大冒険展〉のなかには「人と昆虫の関わり」をテーマとするコーナーがある。そしてそこには、なんと、あの島崎憲司郎さんの特別コーナーが作ってある。

新装版水生昆虫アルバム
経緯はこうだ。茨城自然博物館首席学芸員の山崎晃司さんは、島崎憲司郎さんの古典的名著『水生昆虫アルバム』を以前より読んで感銘を受けていた。今年、昆虫の企画展をするならぜひ特別なコーナーを作りたいと、この5月に小社へコンタクトをとってくださった。編集部ではお話を受けて島崎憲司郎さんにご紹介し、今回の展示にいたった。

山崎さんは、島崎憲司郎さんについて「真の観察者としての視点や、釣りに限らない発想の面白さにとても惹かれています」と評する。山崎さんは『フライの雑誌』連載の〈シマザキワールド〉のよい読者でもある。読まれるべきひとに読まれていたのだとうれしい。編集者冥利に尽きる。

当初、今回の企画は『水生昆虫アルバム』掲載写真のパネル紹介と、これまでストックされているシマザキフライを数本展示するだけのはずだった。ところが、フライフィッシングを楽しんでいるYさんの真摯なアプローチと島崎さんの侠気もあって、結果、新作のシマザキフライ16本が、この〈昆虫大冒険展〉に展示されることになった。こんなに大量の新作シマザキフライが一度に発表されたことは近年ない。

メインのモチーフは、モンカゲロウ、ヒゲナガカワトビケラ。モンカゲとヒゲナガは『水生昆虫アルバム』のなかでも島崎さんの観察眼が鋭く発揮されている水生昆虫だ。小誌読者はご存じのように、島崎憲司郎さんはここ数年釣りへ行きまくっている。そのシマザキ的視点から、2011年夏に新しくタイイングされたモンカゲとヒゲナガパターンのフライがどんなものなのか、たいへんに興味深い。大型昆虫だけに、迫力もすばらしいだろう。

編集部では、島崎憲司郎さんご本人から今回の新作フライについて、こんなコメントをいただいている。〝水生昆虫アルバムの内容に完全対応の入魂のタイイング。…指先が思うように使えないので、難儀しつつも手抜きはせず。〟(※島崎さんは指先のひどい手荒れに長年悩まされている。第88号シマザキ・ワールド12参照

じつは編集部では、まだその新作シマザキフライを見ていない。島崎さんに入魂とまで言われれば、否が応でも期待はますます高まる。展示コーナーには、初版から新装版にいたるまでの『水生昆虫アルバム』も併せて展示してあるとのこと。編集部では近々に茨城自然博物館へ行き、新作シマザキフライをこの目でしっかりと見てくることになっている。もちろん『フライの雑誌』次号でもご紹介する。

〈昆虫大冒険 タケルとケイの不思議な旅〉は9月19日(月)まで開催されている。茨城自然博物館のシンボルは、体長9メートルをこす世界最大のマンモスと、世界最大級の草食恐竜ヌオエロサウルス(どっちもでかい)。近隣のつくばみらい市にはJAXAの筑波宇宙センターもある。

夏休みのお出かけ先にもいかがでしょう。

〈昆虫大冒険〉案内サイト