大型の台風18号の直撃により

◯図書館専門の取次会社さんから、小社新刊『小説家の開高さん』(渡辺裕一著)にまとまった数の注文をいただいた。各地の図書館司書さんから編集部へ、在庫の問い合わせも多くいただいている。朝日新聞さんの書評効果だろう。全国津々浦々の図書館に『小説家の開高さん』があれば、本を購入できない若い読者にも出会える可能性が広がる。今どきの中学生や高校生は『小説家の開高さん』の世界に触れて、何を感じ取ってくれるのだろうか。ほとんどの放課後を釣りに行くか図書館かのどちらかで過ごしていた、自分の中学高校時代を思い出す。色気はまったくなかった。そのせいか親父になったいま、街で高校生カップルを見かけるとふつうに腹立たしい。いのち短し、制服デート。

◯昨日は『フライの雑誌』次号の取材で鎌倉へ行ってきた。大型の台風18号の直撃により、深夜の帰り道の国道16号は、ここ最近経験したことのないほどの暴風雨だった。ワイパーを最高スピードで動かしても、フロントガラスの前方が見えない。ほぼカンだけで運転して帰ってきた。おそろしく危険な取材だった。もっとも私が希代の晴れ男だから、こんなことですんだのだ。台風の膨大なエネルギーを私の晴れ男パワーが押し戻した。もし私が雨男だったら、台風は1000倍くらいに巨大化していたはずだ。私がちきゅうを救ったのだ。俺 saved the earth by 俺。

◯来る11月14日(土)と15日(日)に、つるや釣具店さんとティムコさんの共催でフライフィッシングのイベントが開かれる。場所は日比谷パティオ。つるやの山城さんによると純粋にたのしいイベントにしたいとのこと。無料。場所柄、まったくフライフィッシングを知らないたくさんの老若男女が通りがかるだろう。日比谷に魚はいないけれど、フライフィッシングの〝カッコ良さ〟が伝わるといいなと思う。なにしろ中坊の私なんかモテると思ってフライフィッシングを始めたのだ。もちろんそんな目論みはもろくも崩れた。たぶん今の方がモテる。(ほんとか?)

◯先日紹介した季刊『釣道楽』には公式ウェブサイトがまだない。編集発行人にはもうはるか前から、早く作れ早く作れと催促している。しかし「ん〜、いまやってるぅ」と言い続けてなにもせず、一年半がたった。現在『釣道楽』でネット検索すると、なぜかフライの雑誌社のサイトがヒットするらしい。だから時折、「『釣道楽』の最新号はいつですか」という書店からの電話が我が社にかかってきたりする。いいかげんにしなさいと私と同い年の編集発行人を昨日怒った。すると「ごめーん。いそがしくて。明日は稚内なんだぁ」ということだ。やっぱり雑誌を道楽でやっているとしか思えない。ところで彼がわざわざ出かけるくらいだから、稚内ではいまきっと、なにかがすごく釣れているにちがいない。なんだろう。気になる。

◯編集部の前には多摩川の支流の浅川が流れている。今朝浅川の土手を通ったら、奥多摩方面にくっきりと虹がかかっていた。虹は本来まんまるい。だから地上にいる私たちが見ているのは、大きな虹のほんの一部分である。まんまるい虹を想像して仕事場に入った。ここ東京の西の端では、昼すぎに雨が上がった。