取引先の一軒から、以降の『フライの雑誌』の販売を中止するとメールで連絡をいただいた。
理由は書かれていないのだが、おそらく3/1付け本欄の〈「キャッチ・アンド・リリースなら釣ってもいいじゃないか」とだけ主張するお立場には賛成できません。〉あたりに端を発していると思われる。
先の記事は、渓流釣りの水系ごとの解禁延期が行政から発表された直後に、編集部が行政へ取材した上で記したものだ。そのあとに具体化した特定の活動を念頭においたものではない。釣り業界の腰が引けている中で、自ら声をあげること自体がたいへんなことだと思う。
『フライの雑誌』は1987年の創刊以来、おりにふれて原発批判の記事を載せてきた。釣り場の放射能汚染についての編集部の考え方は、これまで本欄でも書いてきたとおりだ。昨日まさに入稿したばかりの『フライの雑誌』第96号上でも、その考察に基づいた問題提起を行っている。現段階でとるべき基本軸は変わらないと考えている。
今に至るまで原発が全国各地であまたひきおこしてきた分断の力学の一端が、こんなところにも現れたといえるかもしれない。釣り好きとして見ている理想の未来は同じはずなので、たいへん哀しいとしか言いようがない。