阿武隈川の水生昆虫からセシウム340ベクレル/kg、真野川の水生昆虫から670ベクレル/kg(環境省発表7.2)

環境省調査発表 「水生生物放射性物質調査結果一覧(河川・湖沼」 7.2

平成23年度水生生物放射性物質モニタリング調査結果(冬期調査):環境省では、モニタリング調整会議において決定された総合モニタリング計画に基づき、継続的に水環境(公共用水域(河川、湖沼・水源地、沿岸)等)の水質・底質について放射性物質モニタリングを実施しているところです。
 今般、この一環として福島県内を中心に実施していた、水生生物放射性物質モニタリング(冬期調査:(採取日)平成23 年12月21日~平成2 4 年2月26日)について、測定結果を取りまとめましたので、公表します。 概要 

阿武隈川(原瀬川) 平成24年2月8日調査
粗粒状有機物(枯葉等) 920ベクレル/kg
水生昆虫 オオヤマカワゲラ属+オナガサナエ+ヒゲナガカワトビケラ(800匹) 340ベクレル/kg
甲殻類 ミナミヌマエビ(600匹) 156ベクレル/kg
フクドジョウ(75匹) 61ベクレル/kg
カワムツ(215匹) 147ベクレル/kg
アブラハヤ(72匹) 171ベクレル/kg

阿武隈川(大正橋付近、摺上川) 平成23年12月27日、平成24年1月12日調査
粗粒状有機物(枯葉等) 1120ベクレル/kg
水生昆虫 オオマダラカゲロウ+カミムラカワゲラ+ウルマーシマトビケラ+ヒゲナガ(700匹) 330ベクレル/kg
コイ(1匹) 155ベクレル/kg
ニゴイ(1匹) 350ベクレル/kg
コクチバス(1匹) 680ベクレル/kg

真野川(飯舘村)「川の地図」リンク
粗粒状有機物(枯葉等) 1140ベクレル/kg 平成23年12月26日、平成24年1月11日
水生昆虫 カミムラカワゲラ+ヘビトンボ+ヒゲナガ(600匹) 670ベクレル/kg
シマヨシノボリ(40匹) 2600ベクレル/kg
コイ(6匹) 190ベクレル/kg
ゲンゴロウブナ(2匹) 500ベクレル/kg
オイカワ(20匹) 600ベクレル/kg

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環境省が水生昆虫の放射性物質を測定したのはこれが初めて。フライフィッシャー的には、何万年も前から川で暮らしていたのにとつぜん放射能に汚染され、すりつぶされて測定され、あげく放射性廃棄物と化した数千匹の水生昆虫たちの人生というか、ムシ生へ思いをはせる。

枯れ葉は水生昆虫に食べられる。水生昆虫は魚に食べられる。フライフィッシャーは水生昆虫の生態を観察し、わざわざそれを模した毛バリをつくって魚を釣る。ときどき食べる。

自然のサイクルのあらゆるすべてに放射性物質は入りこむ。枯れ葉にも虫にも魚にも人間にも。まさにガン細胞のように侵入し、やがて母体を破壊する。

美しく尊い自然のなかに身を置いて、自らも自然の一部であることに喜びを見いだす釣り人と、自然の営みを分断する原発は相いれない。「基準値以下だから食べても大丈夫」とか、そういう次元のお話とはまた別なのです。

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選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる。─『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著)