本流に鱒を追う
自分の鱒は自分で探せ
ここ数年いつ行っても魚の顔を見られる釣り場は増えた。
でも釣り人は欲深なので、ただ魚が釣れるだけでは満足しない。
ほら魚をたくさん放しました、さあどうぞ釣ってください。
あんまりワクワクしないなあ…。
手垢だらけの釣り場を抜け出し大きな流れへ出かけよう。
自分の脚で相手を見つけ自分のロッドとフライで勝負しよう。
未知に身を投じて初めて手にできる喜びを求めよう。
広大な流れには見たこともない一匹が潜んでいる。
弾かれても信じて求め続ければきっと幸運がやってくる。
ドキがムネムネする出会いはプールの中にない。
税込価格1,250円
ISBN 9784939003110
INDEX
009 フライ・インデックス vol.68
010 心に残るあの一匹 よ・う・こ・そ! 田口清輝
014 大きいやつ、狙わんかい! 渡辺保司
020 発言! 霞ヶ関「連続勉強会」てん末記 スズキイチロー
022 イワナをもっと増やしたい! 放流された養殖魚は天然魚の生息を邪魔するか 中村智幸
026 集中連載2:私的フライ・オリジナリティ論 増沢信二
032 日本釣り場論34 フライ業界、もっと明るく楽しくなりませんか?/ショップのオヤジ、かく愚痴りき 中川一郎
038 釣り場時評 朝日と環境大臣による「魔魚狩り」に呆れ返る 水口憲哉
041 隣人のフライボックス 渋谷直人
046 特集◎本流に鱒を追う 自分の鱒は自分で探せ/杉浦雄三/桂川 山梨 杉山歩/利根川 群馬 伊井明生/軽井沢湯川 長野 橋本牧人/白石川 宮城 中村常人/五ヶ瀬川 宮城 渡辺貴哉/潮汐表で家族円満? 奥田厳啓/多摩川の2尺マルタ 小柳健太郎/狩野川の熱い春 井出高秀
082 シニアにやさしいフライフィッシング 「冷えと関節痛」でしみじみする
088 京浜ベイエリア・魚たちの食卓 餌生物から考える海のフライフィッシング 「釣れる」フライには理由がある 牧浩之
094 ミニエッセイ 我が、最古参
097 隣人のフライパッチ7 全長3センチのユスリカラーバ
100 優しき水辺 斉藤幸夫
102 百魚種釣り男誕生の軌跡 杉山 充
106 悩まないフライマンたちへ 私のスタンダードストリーマーとそのタイイング 中馬達雄
112 魚の数だけ楽しみがある 杉山充
116 人生にタックル16 かじかの肝は肝いと言うておるに の巻 カブラー斉藤
121 スズキの冬休み 鈴木圭司
126 道草の日々2 春の憂鬱 本村雅宏
128 九重町界隈通信13 木化け石化け、イヤラシイ光線 田中典康
130 ネルソンだより フライフィッシングガイドのシーズンオフ2 キョーコ=マーフィー
144 フィールド通信 釣り人が使える情報公開制度を試してみた 青柳純
146 読者通信
149 トラウト・フォーラム通信
内容紹介
特集-本流に鱒を追う 自分の鱒は自分で探せ
- フォト紀行 春の大川で 杉浦雄三
- 山梨・桂川 杉本渉
- 春はノンビリ電車釣行 時速3キロだから発見できるライズもある
- 群馬・利根川板東地区 伊井明生
- 春は激流を狙え? 不確実性に興奮する板東ヤマメ
- 長野・軽井沢湯川 橋本牧人
- 雪の中のマスキングハッチ 今日という日は二度来ない
- 宮城・白石川 中村常人
- あの子が見たサクラかな? 寛大な気持ちで過ごす春の一日
- 宮崎・五が瀬川 渡辺貴哉
- 水の塊を狙い打つ ライズの間隔をどう読むか
- 潮汐表で家族円満? 奥田厳啓
- 多摩川の2尺マルタ 小柳健太郎
- 狩野川の熱い春 井出高秀
ズンズン徒歩で移動する。雰囲気のいいプールを見つけ、いきなり31センチのヤマメが釣れてしまった。しばらく後、37センチのヤマメが釣れた。たまげた。(桂川より)
そもそも、釣りとは魚や自然という不確実なものへの観察や探求、そして挑戦ではなかったのか? いつしか僕たちは「与えられた情報」、「与えられた道具」、「与えられた釣法」、「与えられた魚」などに慣らされ、自分で考え行動する事を忘れてしまっていたのではないか? (利根川より)
自分の鱒は、自分で探せ
『フライの雑誌』が作ると本流釣りの特集はこうなります。要保存の美しい写真の数々、全国の本流釣り師からの熱き最新レポートは読み応え抜群です。メディア初公開の狩野川の2005マル特情報、鱒じゃないけど秘かに人気の、多摩川の2尺マルタ情報も要注意です。
京浜ベイエリア/魚たちの食卓 餌生物から考える海フライ4 牧浩之
海フライの最先端を走り続ける『フライの雑誌』。春の東京湾はいよいよバチ抜けの最盛期です。手軽で簡単で奥深い、初めての海フライに最適なバチ抜けシーバス用の最新フライパターンを、川崎在住の筆者が熱い筆致で発表します。
集中連載2 私的フライ・オリジナリティ論 増沢信二
新鮮なおどろきと熱狂的な支持を集めた新連載。「フライ・オリジナリティ表」のマス目が埋まっていくたびに、今まで知らなかったフライフィッシングの世界が広がります。前回よりさらにパワーアップした連載第二回です。マスザワ的文章の魅力も炸裂しています。
日本釣り場論 フライ業界、もっと明るく楽しくなりませんか? 座談会 牧浩之×神原秀×杉浦雄三
閉鎖的ムラ社会の薫り高い(?)フライフィッシング業界にも、若く新しい風が吹き始めています。巷の釣り雑誌を見て一度でも「また今号も同じ人が出てるじゃん」と思ったことがある方は、この企画に賛同していただけるのではないでしょうか。明るく楽しい釣り人人生を歩む上で、釣り業界にも健全でいてもらわなくては実際困るのです。
100魚種釣り男、誕生の軌跡
フライフィッシングでいったい何種類の魚を釣ることが出来るのか。このばかばかしくも大まじめな大命題に真っ正面から挑んだ一人の釣り人が、ついに節目となる100魚種釣りを達成! ヤマメ、イワナからキヌカジカ、オジサンまで、記念すべき100魚種をこの際一挙に大紹介します。え、あの方からも?!、という関係各方面からの祝辞も合わせて掲載しました。
悩まないフライマンたちへ4 私のスタンダード・ストリーマー・タイイング 中馬達雄
九州鹿児島の伝説のフライマン、中馬達雄氏が「もうガマンできなくなったので」、早々とオリジナル・ストリーマーのフライパターンを細かいタイイング説明と共に大公開。「私のストリーマーは世界の海で通用します」。「日本の海フライはヒヨコです」と言い切る、中馬的フライフィッシングの世界へようこそ!
発言! 霞ヶ関「連続勉強会」てん末記
釣り業界全体へ参加者が拡散し、様々な有意義な議論の場となった水産庁有志主催「川と湖の釣りを考える連続勉強会」は、昨年末でとりあえず一時休止となりました。霞ヶ関が主体となって開催された日本で初めての試みである「勉強会」は、11回の開催のなかで、果たして何をつかんだのか、あるいはつかみ得なかったのか。「あんなやつらとは二度と議論したくない」と言って退席した“業界関係者”とはいったい誰だったのかは、すごく気になります。
隣人のフライボックス 渋谷直人
…フライパターンを5種類も試してダメなら、とっかえひっかえ状態に陥る。こうなると引き出しの量が勝敗を決することも少なくなく、あらゆる場面を想定してフライを巻き溜めていくことになってしまう。とはいえベストのポケットにも限りがあるし意外に重さもあって、フライボックスは4個くらいには抑えたい。…
地元秋田県の渓流を彷徨し、毎年数々の尺ヤマメ、尺イワナを手にする名手渋谷直人氏のフライボックスの中身を精緻な写真で紹介します。いよいよ解禁した今シーズンの渓流フライフィッシングの参考にどうぞ。ところでフライボックス、全然4個に抑えてませんねえ。
イワナをもっと増やしたい!21 中村智幸
養殖放流魚が天然魚の生息を疎外することがある? 天然魚ペアと養殖魚ペアをひとつの金網(ケージ)に入れ、勝敗を決したユニークな実験結果を発表します。日本で生物多様性を語るときの自然認識のベースをも考えさせられる、読んで単純に面白い学術レポートです。
釣り場時評44 水口憲哉
朝日と環境大臣による「魔魚狩り」に呆れ怒る
…オオクチバスの特定外来生物指定の少なくとも半年見送りを認めた小池環境大臣と朝日新聞が急きょ変心というかクーデターを起こしたというしかない。これでゆけると思えばそうする朝日新聞のふるまいはそんなものでしかないのだが、小池環境大臣については、殿ご乱心、またはヒステリーというしかない。
というのは、環境省のお役人が、これだけの“社会問題”(筆者はもっと大切な問題が他にもいっぱいあると思うのだが)を大臣の了解もなしに一月十九日の専門家会合で指定半年見送りの考えを提案する訳もなく、小池環境大臣はそれも止むなしということで了承していたと思う。にもかかわらずその後何があったか知らないが、後先考えず、ヤミクモに暴走した可能性がある。もしそうでないとしたら、環境省のオオクチバス専門家会合に四回もつき合わされた筆者としては環境省の役人に、おんどりゃなにやっとるんじゃと言いたくなる。…
東京海洋大学教授にして環境省特定外来生物諮問委員の『魔魚狩り』著者、水口憲哉氏が外来種新法にまつわる「筋の通らなさ」を一刀両断! 他では絶対読めない、胸のすくような一撃です。
心に残るあの一匹 よ・う・こ・そ! 田口清輝
夏、僕は憧れの川に立った。死ぬまでに一度は行ってみたいと思っていた。川の流れ、川底の石、水草、水温、初めての川だし、水温計も持っていないから川の状況なんて分かりっこないのに、なぜかベストコンディションだと思えた。ついにこの川で釣りができるんだ。朝からずうっと耳障りだったセミの鳴き声も心地よく感じた。…
2005フライの雑誌カレンダーで鮮烈な本誌デビューを果たした田口氏の新作Photo+瑞々しいエッセイです。釣り人なら誰でも、ああ、いますぐ川に行きたい!!と震えてしまうはずです。
シニアにやさしいフライフィッシング3 冷えと関節痛でしみじみする
実は読者カードで毎回、一番反響の多いのがこの「シニアにやさしいフライフィッシング」なのです。日本にフライフィッシングが一般化して40年、その分年齢層が高まっている部分は必ずあるのに、ギョーカイは相変わらずイケイケドンドンの商売根性丸出し。となれば「もういいよ」と言いたくなる大人のフライフィッシャーマンの層は多いはずです。今回は、厳寒期からシーズン早期にかけて、じっくりかまえて優雅に釣りを楽しみたい大人のための、便利グッズ&アイデアを集めてみました。
題して、「冷えと間接痛でしみじみする」。ほんとうはコワイ冷えと関節痛に負けないで、ずっと長く快適にフライフィッシングという一生の趣味を愉しみたいものです。
釣り人が使える情報公開制度を試してみた 青柳純
遊漁料を漁業協同組合に支払う釣り人にとって、漁業協同組合の事業内容は一大関心事です。では、漁業協同組合の財務状況を、誰でも利用できる「情報公開制度」を使って調べてみたらどうなるか。若き骨太ライター青柳純氏が、実際に行政窓口に足を運んで、各自治体ごとの対応を比較。東京都、長野県、三重県、山梨県の公開状況をレポートします。笑ってしまうような「黒塗り」報告書はいったいどこの自治体だったのでしょうか。
大きいやつ、狙わんかい! 渡辺保司
あの宮司さんが、好評につき再登場! 瀬戸内・広島の熊野神社宮司、渡辺氏が、職権を乱用して清らかな巫女さんにフライロッドを持たせ、神聖な宮島でぼこぼこと魚を釣りまくってしまった!? なんてうらやましい! …サングラスの下からやさしい視線がほころぶ、心温まるフライフィッシング・フォトエッセイです。海フライの激烈万能パターン、「目玉親父」の最新釣果も惜しむことなく発表しました。