「桜鱒の棲む気仙川トーク」は大盛況だった。

『フライの雑誌』編集部は、6月5日(土)に岩手県陸前高田市で開催された「桜鱒の棲む気仙川」へ行ってきた。

主催の「めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会」さんによると事前の大々的なPRは特にしていないとのことだったが、当日開場時間になると、地元の漁師さんとそのご家族、勤め人、公務員、学生さん、水産の研究者など、本当に幅広い世代と立場の方々が予想を上回ってたくさん集まられた。充分に広いと思われた会場の大広間から廊下にまで人がはみ出た。気仙川への人々の想いとサクラマスへの注目度の高さがびんびんと伝わってきた。

水口憲哉(東京海洋大学名誉教授/『桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!』著者)、朝日田卓(北里大学准教授)、柳澤啓(NHKカメラマン)の各氏による前半のレクチャーはもとより、後半の「桜鱒の棲む気仙川フリートーク」では会場に集まられたあらゆる立場の方からの自由な意見の交換で大いに盛り上がった。地元住民の方の日々の生活に密着した悩みや質問も飛び交うとても実りの多い集まりとなった。

フライの雑誌社の新刊『桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!』では、「めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会」の山下裕一さんが撮影した、気仙川を遡上するサクラマスの群れをカバー写真に使用させていただいている。今回の高田行きは、そもそもは会場で水口氏の『桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!』を販売できないかという事務局さんからのお声がけだった。そんなことならと編集部が東京から本を積んで車で三陸まで走っていったわけだが、お邪魔して本当によかった。

トークが終わった後の交流会にも厚かましくも参加させていただいたのだが、こちらでは地元の海と山の幸をもうこれっきりというほどにいただいた。バレーボールみたいなホヤとぷりぷりの広田湾の牡蠣、手塩にかけた卵のゆたかな滋味、川がいつくしんだウグイとイワナとヤマメ、それに鹿肉の煮付けと刺身と新鮮な山菜、そしてまさに気仙川で生まれて広田湾で大きくなった見事なサクラマスとあれとこれと…、〝生きててヨカッタ〟と何度も叫びたくなる地元の旨いものの波状攻撃にノックダウンされた東京もん至福の時であった。

豊かな海と山のあいだを川が繋いでいるからこそ、人間はこんなにも旨いものの恵みをいただける。いまだダムのない気仙川を人間がダムをつくってせき止めて、何万年と続いてきた自然の営みを断ち切ることの愚かを改めて思い知った。

この「桜鱒の棲む気仙川トーク」は近くフライの雑誌社webサイト上で一部の動画を公開する予定です。詳細はtwitterおよび本欄でご案内します。

「桜鱒の棲む気仙川トーク」(6/5)より 左から朝日田氏、水口氏、柳澤氏。
桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!