東京の西の外れへ行って来た

JR八王子駅前を歩いた。ここ数年で急速に都市化した。知らないビルに囲まれて浦島太郎状態である。

学生時分、この駅近くの書店でアルバイトをしていた。バイトの身分ながら仕入れの一部を許されたのをいいことに、1本の棚全部を今は亡きペヨトル工房「夜想」バックナンバーで埋め尽くしたり、店頭16面平積みで自分の手描きのPOP付き・おおた慶文スーパーフェアを開いたりした。

「夜想」バックナンバーフェアへの反応はさんざんだったが、おおた慶文フェアはけっこう売れた。当時と変わらないその店の前を歩き、若かった過去を思い出して赤面した。きもいオヤジだ。今の私があのころに戻ったとしたら、1階から最上階までのフロア全部を我がフライの雑誌社の発行物で埋め尽くしてやる。テロだな。

八王子とは思えないものすごくおしゃれなカフェに入った。ジーンズ履いたウエイトレス(っていうのか?)のおねえさんの腰の位置が非常に高い。カフェ飯(っていうんでしょ?)のメニューもよく分からない品名がたくさん書かれていて、えらく洗練されている風だ。思わず動揺して日和り、目についたカレーを適当に頼もうとしたら、連れの人が「胃潰瘍の人がそれはどうなのか」と指摘してきたのでカレーはやめ、「白身魚のフリッター」なるものに変えた。でも今度は悪玉コレステロールがちょっと気になる。ぼく数値高いので。

店に入ったときはガラガラだったのに、ふと気がつくと満席状態になった。連れの人との楽しい会話の合間に店内のぐるりを見回し、客層をチェックした。すると店の雰囲気とは大いに場違いな、上田馬之介みたいな金髪にサングラスをかけたお父さんと後ろ髪の長い子どもが楽しげに食事をしていたりして、なんだやっぱり八王子じゃん、とうれしくなった。