「フライの雑誌」第80号の記事の中で、八王子在住の二人組による〈桂川ヤマメ対談〉が大好評だった。辛口で知られる私の友人からも「釣りの話しかしてないのに、すげえ面白い。」というコメントをいただいた(「フライの雑誌」はもちろん釣り雑誌なので、このコメントにはよくよく考えるとふと立ち止まって頭をひねりたくなるのだけれど)。編集者としてもあの対談はとても面白いと思う。第81号の第2回はもっとすごいのでどうぞよろしく。
それはともかく、今が桂川はいちばんいい季節である。本当は今日、別の友人と一緒に釣りに行く予定だった。しかし昨日の台風並みの大雨で、川は大増水が予想された。しつこい友人はぎりぎりまで現地の漁協へ電話をかけまくり川の様子を聞いたものの(そこまでやるか)、漁協のおじさんに「釣り? ムリずら。」と言われてさすがにあきらめた。
ところが今日の朝、私の携帯電話のメール着信音が鳴り響いた。見てみると、なんと桂二人組のMさんからである。さすがMさん。しっかり川を読み切った上で、あえて今日出撃したのだ。「西桂は釣りになりますよ〜。はあと。」とのこと。ごていねいに川の写真付きである。すこぶるいい感じの水量と水色ではないか。あちゃー。
さらに、ついさっき、再びMさんからメールが。「でかいの獲りました〜。にこにこ。」だって。もちろん写真付きで、なんだよこれっ、というくらい、でかくてぶっとい見事な尺ヤマメが、Mさんの掌の上に横たわっている。しかも今のメールということは、真っ昼間にドライでかけたということだ。なんとうらやましい。
世の中はインターネットの勃興で、旧媒体に属する雑誌業界はのみなみ大不況だ。フライの雑誌社も例外ではなく、インターネット様はすごいなあ、僕たちこのさきどうなるのかなあと、編集部は毎日遠い目をしている。そんな状況で、尺ヤマメゲットの生中継ドキュメントをされた精神的ショックは大きい。私が釣ったかもしれないのに、それ。
世の中には知らなければよかったと思うことがたくさんある。インターネット時代も便利なのかどうなのか善し悪しですね。立ち直れないかも。