年に一回、新宿で友人達が開いている陶芸の展示会を見に行く。前身から数えれば今年で20年以上になるのではないか。展示会を始めた頃の作品はいかにも素人くさく目を覆うばかりだったのに(ごめん)、ここ数年はにじみ出てくる風合いが玄人はだしである。継続することはこんなにも人を進歩させるのかと思う。
しかも、いかにもプロが狙って作り込んだ作品ではない、アマチュアが趣味で作っている作品ならではの温かみのある息づかいが感じられる。ぜひ普段使いで使いたくなる雰囲気がある。じっさい、我が家の食卓では彼らの作品のいくつかを楽しみながら使わせてもらっている。このあたりの感覚は、プロを自認するビルダーの作るバンブーロッドとアマチュアの作るそれとの、悩ましい関係性にも通じるところがある。要は、使う人間を楽しませてくれる道具がいちばんだということだ。
会いたかった人を待つ間、京王デパート屋上プレイランドの乗り物コーナーで時間をつぶす。トーマスとかプラレールとかアンパンマンとか、ふと気がついたら合計2000円分くらい乗り物に乗ってしまっていた。まさに無駄使いである。ちょうどプロモーションで来場していた「お尻かじり虫」と握手し、ついでにMCのお姉さんとも記念撮影をした。お姉さんはかわいかったので、ちょっと取り返した気分になった。
新宿を出たあとは、「フライの雑誌」77号でも紹介した三鷹の「マグノリア」で珈琲。ここは中央線のフライフィシングフリークが集う、ひじょうに正統派のまっとうな喫茶店である。「おとといこうだった」とか「きのうよかった」とかのシズル感にあふれた、最新釣り場情報を仕入れた(もちろんこちらからも情報を提供したのは当然)。あちらこちらの状況を総合すると、今年、東京近郊の渓流はかなり当たり年のようだ。