「フライの雑誌」第81号発行

「フライの雑誌」次号第81号発行のめどがようやくついた。予定通り5月20日の発売に間に合いそうだ。編集部はただいま、ほぼ1ヶ月ぶりの放心状態にある。魂が口と鼻からひょこひょこ出そうになるのを、オイオイと追いかけていちいち連れ戻すのは、けっこう面倒である。

雑誌作りは麻薬そのものだ。普段はきつくてつらいことばかりで、編集者は宿命的にいい目はみられない。ことにネットの時代になった現代では、紙媒体の編集者なんてもろ斜陽産業の希少種そのものである。

しかしである。読者の方からあたたかいお便りをいただいたり、自分の関わった媒体が社会へなにがしかの影響を及ぼせたのではと感じた時などの爆発的な快感は、賽の河原の石積みのように重ねて来た筆舌に尽くせないそれまでの労苦を、一瞬のうちに銀河系の向こうまで吹っ飛ばしてくれる。

そのスピード感といったら桂川のヤマメも真っ青、頭の中は多幸感で満たされてもうなんにもいらない。私はそんな瞬間を何回か味わったことがある幸せ者だ。第81号ではどうだろうか。

編集者と役者とフライマンは、三日やったらやめられない。