北関東の方へ行ってきました。

「フライの雑誌」は季刊なので、8月20日発売号ならば6月後半から7月上旬にかけてが、取材が重なるピークになる。1年に4冊しか出ないウチがこれほど大変なのに、月刊ベースで雑誌を作っている人たちはどれだけ殺人的な日々を送っているんだろうと、他人事ながらそらおそろしくなる。

私は子どものころから釣りが好きで、ずっと釣りがしたくて学生のときに「フライの雑誌」に関わり、七転八倒しながら今に至る。その点に関してはしょせん自分が投げたフライで自分を釣っただけで、当時期待していたほど実際には釣りができなかろうとも、どうってことない。負け惜しみじゃなくて。

昨日は坂東太郎の川岸で夕暮れを迎えた。だんだん濃くなっていく闇のなかで、虫たちがパタパタと生命のダンスを踊りはじめ、私はぼうっとそれを見ていた。ときどき魚のライズ。湿った川霧に身を包まれる感覚が最高に心地よくて、このままこの川岸で死んでしまっても納得できるかもと思った。私の手には釣り竿がなかったが、こんなことは、20年前の私には想像もできなかった。