『Number』714号の野茂特集

そもそも私は、たとえイチローが100万本ヒットを打とうが、松坂が「いくら点を取られてもチームが逆転してくれるから絶対負けない」大投手になろうが、あぶさんが日本人の平均寿命をこえても現役を続けようが、人間としてもっとも魅力的なのはなんといっても野茂だと考えている。だから今号の『Number』野茂特集は発売日に購入した。

表紙に「引退会見すらしなかった男が、重い口を開いた―。4時間に及ぶ独占インタビュー」とぶち上げているので、あの野茂にそれほどしゃべくらせるとは、やっぱり天下の『Number』だと思って頁を開いたら、インタビューというよりライター氏の力技による構成記事だった。

野茂は4時間の取材時間のあいだ、おそらく400字詰め原稿用紙にして2枚半くらいしか口を開いておらず、あとはムスッとしていただけではないかと思われる。スタジオで撮ったらしい写真も、憮然とした顔、曲がった指のほかは、ボール、シューズ、グラブの物撮りばかり。笑顔まったくなし。やっぱり野茂だと私はうれしくなり、そんな材料で特集10頁をぶち抜いてしまう『Number』のトルネード魂にも心から感服した。

今後、野茂はNOMOクラブでなら投げるかもしれない、と言っている。投げる前には「会員さま」限定でお知らせします、とも。野茂に「さま」付けしてもらえるのはうれしいかも。NOMOクラブの個人会費は年間6000円である。