逆説のフライフィッシング

ランディングネット製作で人気の工房ひわたりさんへ、フライボックス​の取材でうかがった。

工房の片隅で見つけた〝銘木ニードル〟。ネットの枠やリールスペ​ーサーと同じ、手間ひまかけた塗装が施されている。

タイイングする手に吸いつくようなシャフトの微妙な三次元曲線(さかなみ​たい)。そこへ世界にふたつとない銘木の紋様が重なる。そしてこの必要以上になまめかしい色つや。

ニードルの柄なんて、なんでもいいっちゃなんでもいい。でもなんでもいいことにこそ目を向ければ満足度がより高まる。モダンと合理主義の彼岸に自分だけの天竺をもとめる。

そんな七面倒くさい逆説も、大人のフライフィッシングの面白いところ。