21世紀の現在、雑誌業界は代表的な斜陽産業である。
雑誌が色々な意味で行き詰まったとき、しばしば「休刊」を宣言する。そのまま発行をやめることが多いが、「廃刊」とはめったに言わない。なぜかと考えるに、尾羽打ち枯らしてとっくにイっちゃってたとしても、「いやまだおれイってないから」と言い張りたいからだろう。武士の最期はいさぎいいのが美徳とされるが、雑誌の最期はたいていダラダラしている。
いつかきっと再登板をとの思いが、編集者に「やめるんじゃない、休むだけ」と強がらせる。ヒクソンに高速タップで2回もぼろ負けしたのに、まったく懲りないで「もういっちょ!」と3戦目を要求した1998年の高田延彦を、当時の私は笑った。でも今は笑わない。すこしだけ大人になった。
いずれにせよ、いったん「休刊」した雑誌が「復刊」することは、引退したプロレスラーが再びリングに上がるよりもはるかにむずかしい。だがその世にも珍しい、こんな時代にありえないくらいな奇跡が起きた。
『ルアーマガジンリバー』誌の復刊である。
震災のあと、寄稿者の多くが東北在住で、東北の渓流が主な取材フィールドだったことを理由に、6月以降の休刊を宣言した同誌だった。しかし、関係者の努力によりこの10月発売の12月号で、見事な復刊を成功させた。復刊が被災地復興の一助になればさらにすばらしい。
さっそく復刊号の中身を拝読したところ、従前を凌駕するまでの気合いの入りっぷりだ。雑誌づくりの王道がここにある。雑誌が好きな人、渓流のルアー釣りが好きな人、ぜひあなたの浄財でこんな楽しい時間と空間を買って支えてください。
雑誌なんてたかが雑ぱくな紙の束である。こんな時代の(しかも釣りの)雑誌の編集者は、終わりの始まりのチキンレースを意地というガソリンで走っているようなものだ。釣りが好きで、本づくりが好きでなくちゃ、色んな意味でやってられない。
『フライの雑誌』は1987年の創刊以来、ずっとニュートラルコーナーでゼイゼイいっている。そんなヘンタイ雑誌の不肖の二代目編集人にも、ジャンルも規模も違えども、『ルアーマガジンリバー』の復刊はすんごくうれしい。
やられてもやられても何度でも立ち上がる。
われわれはあしたのジョーである。
放射能なんかふりかけにして喰ってやる ヽ(´o`; オイオイ