『ジョン・カーター』を観てきました。

米帝のネズミの親方の生誕110周年記念超大作映画『ジョン・カーター』。アメリカじゃ記録的な大ゴケ、日本でも昨日公開されたばかりなのにまったく話題になっていないことで話題だ。そんなにつまらないならぜひ観ておかねばなるまいと、本日行ってまいりました。

子連れでもあり、もちろん3Dの日本語吹替版にした。こういう類の映画は気合いを入れたほうが負けである。土曜日の午後一の上映で、館内の客入りは半分弱。日本でも大ゴケ確定か。

観終えた印象は、『アバター』と『スター・ウォーズ』と『ベン・ハー』を足してすり鉢で擦って、とんでもないお金と手間ひまをかけてむりやり麺にした感じ。アメリカでは主演俳優が無名だという言われのない非難を浴びているようですが、彼はなかなかどうしてよかった。どうせVFXなんだし。え、ちがうの?

しかしです。こういったヒロイックものに肝心要の、主人公が命をかけて助けにゆく囚われの火星のプリンセスが女子プロレスのデビル雅美似だった。映画が始まってすぐにプリンセスが登場したとき、これからこのデビルのために主人公はたいへんな苦労をし、下々の者はバタバタと死んで行くのだろうかと予想して、暗澹たる気持ちになった。『アバター』のときもそう思った。この気味が悪い爬虫類の娘のためにたくさん人が死ぬのかよって。人じゃないのもたくさん死んだなあ。

そもそもまったく個人的な趣味だが、プリンセスはやっぱりか弱くて、かんたんに手折れそうなくらいに華奢な方が、皆さんが〝姫、私がお助けに上がります〟と馳せ参じてくれるのではないか。その点では『ロード・オブ・ザ・リング』に出てきたエアロスミスの娘もなんかごつくて、まったく助けたくなかった。ましてや今回はデビル雅美だ。いや、デビル様はレスラーとしては超一流でとても尊敬している。でもお姫様にはちょっと。

映画のクライマックスシーンには、なぜか『卒業』へのオマージュも少し入ってた。教会から花嫁を連れ出すあれだ。だけどわざわざ火星まで行って、何万人もの無辜の民の犠牲を払って、星を潰さんばかりの大騒ぎをして、みんなで命がけで必死になって悪いやつから奪い返す相手が、しつこいようだけどデビル雅美。

★予告編よりは楽しめます。こういう映画も珍しい。