〝いわてラブ〟の『コミックいわて2』はおすすめです。

恥ずかしいことに不勉強で知らなかったのだが、岩手の読者さんに教えていただいて手にとった。岩手県の出身であるとか、岩手にゆかりのある作家さんが寄稿。作風もテーマもバラバラだが、〝いわてラブ〟で一冊の単行本のためにチームを組んだ。震災前の去年1月に「1」が出ていた。震災後の今年3月にこの「2」。震災をテーマにした作品もあれば、そうでない作品もある。いずれにせよ〝いわてラブ〟でビチッと決まっている。

岩手県北上市出身『ドラゴン桜』の三田紀房氏の「岩手の人々」は、いわて県民を横長コマへ横並びに配置。たのしく寄り合いのお酒をのませて、「集まる」「飲む」「食べる」とすすみ人々が酩酊するにつれて、「勝手にしゃべる」「うるさい」「急にしんみりする」「かと思うと急に盛り上がる」、最後は「ワケわかんなくなる」「そして…」におさまる小品。この人は絵が下手なので人物の描き分けができていないところがかえってカオス感を増して完成度が上がっているという、めずらしい作品。個人的にはこの本の中でいちばんよかった。わたしが参加させてもらった岩手の人々の飲み会ってたしかにこうだったかも。

帯には「岩手県知事責任編集」と大書。じっさいは知事閣下がネームの打ち合わせや原稿の受け取り、切り貼りなんかはしてないだろうが、こうしてマンガを利用して関わうとしているのはよし。採算はおいといてとりあえず〝いわてラブ〟でゴー。マンガ文化のちからを感じた一冊。

カネ勘定しかできない大阪の茶坊主は我が身の浅薄を知れ、とも思った。