この状況で巨大なダムがまだ本当に必要なのか。

「昨年は大震災の影響で沿岸に定置網がほとんど設置されず、川に帰ろうとしているサクラマスが漁獲されませんでした。そのためか、大股川には例年の3倍以上のサクラマスが上りました。」

大股川は陸前高田の海へ流れ込む気仙川最大の支流。この大股川に現在津付ダムが計画中だ。川と海とが分断されれば、氷河時代から続くサクラマスの歴史は途絶える。

「自然豊かな川にダムを造ることで水はよどみ、石の流れも断ち切られます。サクラマスだけではなく復興を目指す沿岸の漁業に影響が出ないか心配です。」

NHKの取材者さんの日記をぜひ読んでほしい。この記者さんのお話は2010年初夏の陸前高田でのサクラマストーク会のときに伺った。サクラマスの営みは変わらないが、人間社会の事情はこの2年ではげしく変わった。

この状況で巨大なダムがまだ本当に必要なのか。

NHKエコチャンネル「サクラマスのぼる川 -簗川と大股川-」
『桜鱒の棲む川─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!』(水口憲哉著)、世界唯一のサクラマス本