ミミズから2万ベクレル/kgの福島県川内村で「釣りイベント」

川内村で来月「釣りイベント」開催、放射性物質調査兼ね 

福島第1原発事故で避難した村民に帰還を呼び掛ける「帰村宣言」を出しても帰還が進まない福島県川内村に人を呼び込もうと(中略)首都圏などの釣り愛好者が6月2、3の両日、村を流れる木戸川で釣りのイベントを開く。村内の河川にすむ魚の放射性物質調査は行われていないため、イベントは調査も兼ね、釣った魚を商工会の検査機器で測り、データを集める。

木戸川は村中心部でもイワナやヤマメが釣れ、釣り人に人気があった。原発事故後は漁業権を持つ木戸川漁協(福島県楢葉町)が遊漁券販売を中止し、釣りができなくなった。村は原発事故で村民約3000人のほとんどが一時避難した。放射線量は中心部で毎時0.2マイクロシーベルト前後と低く、村は今年1月に帰村宣言を出した。だが、帰還者は544人(5月2日現在)にとどまり、観光客の敬遠傾向も根強い。

遠藤雄幸村長は「自然豊かで安全な川内村をPRするチャンス。愛好者の温かい気遣いに感謝したい」と歓迎する。

河北新報 2.24

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釣り人はカナリヤではない。釣りはだれかに動員されるものではない。正直なところ、このような事態は『フライの雑誌』第93号特集〈東北へ行こう!〉(2011年6月発行)のときには想像できなかった。しかしもちろん、このような「釣りイベント」に賛同する方の釣りも、また自由であるはずだ。むずかしい。考えれば考えるほど釣り人にはタフだ。小誌次号に論考を載せます。

川内村をめぐっての過去記事を紹介する。

cf-1.「緊急時避難準備区域⇒警戒区域」指定の福島県川内村が「帰還宣言」 毎日新聞 1.24

東京電力福島第1原発事故で警戒区域と緊急時避難準備区域(昨年9月解除)に指定された福島県川内村が31日、避難生活を続ける村民に帰村を呼び掛ける「帰還宣言」をすることが分かった。
同事故で避難区域に指定された自治体の帰還宣言は初めて。3月末までの全員帰村を目指し除染作業を進め、4月からは役場や学校も再開するという。ただ、村民からは帰村に慎重な声も聞かれ、村復活の道のりは険しそうだ。

cf-2.〈福島県川内村の未来を切り開く村長の英断と村民の心意気〉 櫻井よし子 3.10

…面積の90%を占める山林の安全性はまだである。山林には警戒区域もある。毎時五マイクロシーベルトの所もある。ただし、そうした所は人が入らないように囲い込まれている。

cf-3.放射性セシウム:福島県川内村のミミズから検出 1キロあたり約2万ベクレル – 毎日JP 2.6

川内村のミミズから1キロあたり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出された。大玉村では同約1000ベクレル、只見町で同約290ベクレルだった。調査時の川内村の空間線量は毎時3.11マイクロシーベルト、大玉村で同0.33マイクロシーベルト、只見町で同0.12マイクロシーベルトで、線量が高い地点ほど放射性セシウムも高濃度になっていた。
 一方、林野庁が昨年8~9月に実施した調査によると、川内村で土壌1平方メートルあたり約138万ベクレル、大玉村で約8万~12万ベクレル、只見町で約2万ベクレルあった。
 事故で放出された放射性物質の多くは落ち葉に付着している。落ち葉が分解されてできた有機物を、ミミズが餌とする土とともに取り込んだのが原因とみられる。

cf-4.放射線の管理区域にしなければいけない汚染地帯 小出裕章インタビュー 2.7

水野「…今回のミミズが生息している場所がどこかというと、福島県の川内村。先週、帰村宣言、あの、村にかえってくださいよという宣言をした村ですよ。そ、こうしたミミズ、つまり土の状況の中で、帰りましょうよということ、をどういうふうに小出先生、捉えたらいいでしょう」
小出「えー……、大変痛ましいと私は思います。え…もちろん、皆さん帰りたい、」
水野「はい…」
小出「と思っているはず、ですよね。うん…。なんとか、うん、今まで通り、避難所とかですね、仮設住宅ではなくて、自分の家で今まで通り生きたいとみなさん思うはず、なわけで。そ……まあ、村長町長がですね、決断するというのは私はありうるとおもうけれども」
水野「はい…」
小出「でもそう言われても膨大な汚染地帯なんです。あの…放射線の管理区域にしなければいけないというそういう汚染地帯…なわけで。う…そういうところに、ん…まあ、帰るといってもですね、やはり子供をかかえた親とかは帰れないと思いますし。そうなればもう町地震が分断されて、結局崩壊して、し、いくしかないと」
水野「はあ…」
小出「私はおもいますので。本当にその…なんていうんですかね、痛ましいというか、お気の毒というかですね、こういうことを本当にどうしたらいいのかって私はよく分からなくなってしまいます」

『フライの雑誌』第93号〈特集◎東北へ行こう!〉