現在ヒット中のフライの雑誌社の新刊『文豪たちの釣旅』(大岡玲著)が、西日本新聞の書評欄に掲載されました。(下の画像をクリックで拡大します)
評者は作家の澤宮優氏。書評のタイトルは〝震災後を生きるヒント〟。一部を引用します。
本書は、開高健、幸田露伴、井伏鱒二、坂口安吾、岡倉天心、山本周五郎ら14人の文豪たちの釣りへの嗜好を描くことで、釣りの持つ得々の魅力を明らかにしてゆこうと試みる。
…人は自然に包まれ、卑小な存在でしかなく、共生するしかないという厳粛な事実。釣りという自然と一体となった遊びに、震災後を生きるヒントがあることを感じさせられる一冊である。
本書の〈あとがき〉に、著者の大岡玲さんはこう書いています。
…2011・3・11の大震災、とりわけ福島第一原発の事故によって、私たちが住むこの国は、すべてにおいて、これまでとはまったく異なる状況に足を踏み入れることになってしまった。本書は、釣りというごく他愛ない娯楽について書かれたものではあるが、しかし、「朝露の一滴にも天と地が映っている」とも言う。お手にとってくださった方に、そんな一滴が届けば、と願っている。 大岡 玲
大岡さんがこの『文豪たちの釣旅』で届けたかったメッセージが、読者へしっかり届いていることを感じます。ありがたい書評です。さっそく、九州の書店さんから多数の注文をいただきました。
以下、大岡さんが本文141ページに記した一文を紹介します。こんな現代に、ひとりでも多くの方に読んでいただきたい一冊です。
きちんと努力していけばきっと事態は好転する。
少しはましな明日がやってくる。(山本周五郎の項より)