環境省「放射性物質関連の環境モニタリング調査:公共用水域」最新版からわかること。

環境省発表の公共水面(川・湖・ダム湖・沿岸など)における放射能汚染の最新数値がこちら。対象は「岩手県 宮城県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 千葉県、埼玉県及び東京都」の一都九県。>「東日本大震災の被災地における放射性物質関連の環境モニタリング調査:公共用水域」

ちょっとややこしいので解説すると、水そのものからはヨウ素、セシウムともにほとんど不検出です。しかし福島県浜通りの河川と湖沼の水からは、セシウム合計5ベクレル/リットルが出ています。さらに底質(水底を構成する泥、有機物、シルトなどの堆積物)および周辺環境(土手など)からは、調査したすべての都県で、放射性セシウムが出ています。

福島県では底質から放射性セシウムが10万ベクレル/ キログラム(乾)以上検出されたダム湖もあります。3ヶ月前、6ヶ月前の調査より汚染が増している箇所もある。目を覆うばかり。

こうしたアウトドアフィールドの放射能汚染は、テレビ・大新聞ではまず報道されません。水底の泥をすくって呑む人はいないでしょうけれど、一都九県の川と湖が放射能で汚染されているのは事実です。

『淡水魚の放射能』(水口憲哉)には、淡水魚へのセシウム蓄積の中心は、底質に依存する魚へと移行してゆき、次いで魚食性の魚で増加すると書いてあります。底質に依存する魚とは、アユ、ウグイ、ヨシノボリ、ギンブナなど。魚食性の魚とは、ブラックバス、アメリカナマズなど。『淡水魚の放射能』では魚種ごとと地域ごとでさらにくわしく分析し今後の汚染予測をしています。

ちなみにこの調査は「東日本大震災の被災地における放射性物質関連の環境モニタリング調査:公共用水域」というタイトルになっていますが、「東京電力福島第一原発事故の被災地における・・・」が正確だと思います。

選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる。─『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著)