「原発事故後の川と湖の魚たち」全文公開(水口憲哉・談)

原発事故後の川と湖の魚たち 全文
(水口憲哉・東京海洋大学名誉教授)

…魚を食する私たち、また漁業を営む人々にとって、放射性物質が長い時間をかけて魚を汚染し続ける影響の大きさは計り知れません。

私は、海産物について食品の放射能汚染完全対策マニュアルをまとめるなか、苦しみ考え抜いた末、小さな子どもについては1キロあたり10ベクレル以下のものを選んで食べることを提案しました。長年、漁業者と共同して環境問題等に取り組んできたものとしてつらい提案でした。

 すなわち、子どもには1回の食事で、魚から1ベクレルたりとも食べさせたくはない思いがあります。内部被ばくの影響は、確率的影響としてしか計れません。しかし、確率的にわずかな影響とはいえ、未来のある子どもたちにそのリスクを負わせるわけにはいきません。

 私たちは、今後も生態系における放射性物質の動向をしっかり見つめ、内部被ばくの危険性を下げる努力を続ける必要があります。また、国に対しても、放射性物質による汚染を二度と引き起こさないよう、原発には反対の声を上げていくべきであると私は訴えたい。(談)

記事中で『淡水魚の放射能』(水口憲哉著)を紹介しています。
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ドイツ・バイエルン地方における川魚のセシウム137濃度変化(水口憲哉著「淡水魚の放射能」から)。魚食性の強いノーザンパイクとヨーロピアンパーチは1991年から15年間、ゆっくり100ベクレル以下10ベクレル以上を維持し続ける