「ほろ苦い余韻残す男たちの短編」
(朝日新聞読書欄/平松洋子氏書評より)
渡辺裕一(著)
四六判 216頁 税込価格1,800円(本体価格1,714円)
ISBN 9784939003356
文豪開高健氏と著者との、こころにしみ入るような英国での交流を描いた表題作「小説家の開高さん」、あの蟹工船へ著者が実際に乗船した経験をもとにした「土方のマサ」、1970年代のヒッピー文化の熱と苦悩をリアルに伝える「ヒッピーのエンディ」、来日したジョン・レノンが骨董へ耽溺する秘話を明かした「骨董屋の善二さん」など、きらめくような中短篇が全十作。
「…武骨で、不器用で、率直で、酒飲みで、恋に一途で、ちょっとだめで、つまりいろっぽいのです、みんな。そんな男たちとの交差を描く物語が十編。…十編それぞれ、ざらつきのあるほろ苦い余韻がある。よい短編は読みおえたとき、しばらく黙りこみたくなるものだ。」(朝日新聞全国版・読書欄9/6日付) 平松洋子氏(エッセイスト)絶賛!
著者紹介
1949年北海道生まれ。漁船員などを経て、渡米。その後、カナダ、ヨーロッパ、北アフリカを数年間渡り歩いて帰国。テレビ局の大道具、沖縄での泡盛製造などの仕事についた後、フリーランスのコピーライターとなる。1999年から4年余りニュージーランドに住み、鱒釣りを堪能する。
主な広告の仕事に、サントリーカンビール「ペンギンシリーズ」、日清カップヌードル「シュワルツネッガー、食べる。」「ちからこぶる。」、日本航空「只今、JALで移動中。」、JRグループ「ヒミツの京都。」、アリナミンA「カラダ元気、ココロ平和。」などがある。
目次
土方のマサ
漁師のテリー
ヒッピーのエンディ
大工のウィリー
オカマの次郎さん
絵描きのヨシオさん
小説家の開高さん
骨董屋の善二さん
熊撃ちの征三さん
教師のマイケル
あとがき
『ルアーマガジンリバー』8月号 2010/6/21
朝日新聞 全国版 読書欄(9/6) 2009/09/06
『Gijie』8月号 2009/08/25
『ノースアングラーズ』9月号 2009/08/18
月刊『BE-PAL』9月号 2009/08/12
季刊『鱒の森』夏号No,3 2009/07/31
月刊『釣り東北』8月号 2009/07/28
季刊『釣道楽』05号 2009/07/28
中日スポーツ 2009/07/11
読者からの声
- 朝日新聞で本書のことを知り、すぐに書店へ注文。開高さんに関する本はまずは読みたい。ネーミングがうまい。開高氏を好きな一人として、「ひと」の生き方のそれぞれにとても気を向けている一人として、共感と共振で一気に読めた好著でした。中途半端なことが多い自分に、じわりと点滴をしてもらって読了。「人はいざ」と思い返してみる。(青森県/Y様/男性)
- ところどころに開高健が顔を出しては引っ込めたりする。もともと開高健の大ファンである私は少しも気にはならない。とにかくこの一冊はオモシロかった。渡辺氏は大変なストーリーテラーである。次の一冊が待ち遠しい! (埼玉県/A様/男性)
- 十篇ともそれぞれ興味深く、人生がありました。「骨董屋の善二さん」がよかったです。ジョン・レノンの知られざるエピソードがおもしろく、その人柄がすごいと感じました。開高さんの言葉の重み、深さはすばらしいです。まだまだ生きていてほしい人でした。(北海道/Y様/女性)
- 人っておもしろいな。いちばんオモロいのんは、ヒトやで。開高さんはそういうてはったかもしれん。人はなにせ何をするかわからん。欲もありゃ、知恵もあるもんやから、汚い真似もする。そんなんが、釣りなんぞするんは、おおかた罪ほろぼしか、ザンゲやろ。素直で不器用な魚にオノレを教えてもらうんや。ワケのわからん人が魚を釣るんだから、おもしろないはずがないわな。(富山県/H様/男性)
- 一作一作に引きつけられ、一気におわりまで読み終えてしまいました。面白い! 温かいまなざし、深い人間性、なんと表現してよいか。久しぶりにたかぶりを覚えました。次回の作品を心より期待しております。(北海道/K様/男性)
- 渡辺裕一氏の本の登場人物はじつに生き生きとしている。行動の動機がしっかりと描写されている。放浪者にあこがれたが自分にはその勇気がなかった。よい学校を出てよい会社に入れば幸せになれると信じていた。世の中はそれほど甘くなかったが、それでもいくばくかの保証はあった。渡辺裕一氏は世界を放浪した。そしてその経験を表現できる才能と機会に恵まれた。すばらしいではないか。文学の神に乾杯したい。(山口県/A様/男性)