生まれながらの釣り人

昨日、SKE48加藤るみさん(18歳)のぐぐたすにアップされたショット。『フライの雑誌』第97号へいただいた寄稿を読んだ2012年7月の時点で、このひとは本物の釣り師だとにらんだわたしの目は間違ってなかった。むろん、親目線なわけですが。

読んでおられる方もなかにはいらっしゃるかもしれないが、『フライの雑誌』の第2号(1987年8月)に、茨城の野々垣洋一さんが書いた「生まれながらの釣り人」というエッセイが載っている。学生だったわたしはあれを読んでえらく感動した。

何年か後、山形県寒河江川で開かれた釣りイベントへ、野々垣さんが来られた。皆でいっしょにソバを食べているとき、わたしは野々垣さんへにじり寄っていって、「あの〝生まれながらの釣り人〟はとてもよかったです」と伝えた。だれかにそういうことを直接伝えるのに慣れていないわたしの顔は赤くなっていたと思う。

野々垣さんもすこし顔を赤くして「そうか、そうでしたか、ありがとう」とうれしがってくれた。対応も言葉もていねいだったが、野々垣さんの人物は文章から受けた繊細な感じとはすこしちがって、このひと意外に男っくさい人だなと思った記憶がある。

東京に帰ってきてから、当時仙川にあったフライの雑誌社へ行って、中沢孝さんに「野々垣さんに〝生まれながらの釣り人〟はとてもよかったですって言ったら、すごく喜んでくれました」と伝えた。すると「そりゃそうだよ。書いたほうはそう言われたらうれしいに決まってる」とニヤッと笑った。いま思うと編集者的に、してやったりな気持ちだったのだろう。

野々垣さんも中沢さんもふたりとも亡くなってしまった。でもわたしは寒河江川と仙川での、ふたりとのあのやりとりをよく覚えている。

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ちっちゃい釣りびと かとうるみ(3)

SKE48加藤るみさんはホンモノの釣り人です

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