『ルアーマガジン リバー2013年8月号』でほっこり。「どうしてあなたは釣れないの?」

『ルアーマガジン リバー2013年8月号』さんが発売になった。今号でまずひっかかったのは【特集1】「夏渓入門」の南アルプス釣行記。記事中にでている二軒小屋へは、数年前の秋、瀬戸市のFLYイナガキさんの仲間の釣旅に混ざって行ったことがある。いやぁ、あれはたのしい旅だった。

釣りびとは釣りに関してなら、よかった記憶もわるかった記憶も、あたまの格納庫の中から何年たっても瞬時にとりだして、まるで目の前にあるかのようにして楽しめる。あたまのわるさには定評のあるわたしにして、あのときの大井川の釣りをいまだに何回も反すうして味わっている。

世の中にはいろいろな事情で、行きたい釣り場へ行けない方もいらっしゃる。釣り雑誌のしごとのひとつには、そういう方々にでも誌面の写真や文章で、美しい釣り場とたのしい釣りを、部屋にいながらにして満喫してもらうことがあると思う。この南アルプス釣行記事も、きっとそういう記事だ。ああこういう釣りがあるんだなと、思い出すだけで釣りびとを元気づけてくれる。釣りはいいね、日本の自然も捨てたものじゃないよねと。

【特集2】の「スピナーで釣る」もよかった。はるかむかし、わたしは中学生のころにキラクの振り出しルアー竿とセルタとアルタとブレットンを持って、青梅線の無人駅を利用して奥多摩の川へ通っていた。いま40代もなかばとなり、最新のスピナー事情が満載のこの記事を読み、「やはり渓流ルアーはスピナーだけあればなんとかなる」と、まちがった決意を新たにした次第である。

個人的に大好きなシリーズ連載の第11回「ニッポンC&Rお気楽探釣記」は、福島県の阿賀川へRiver編集部の二人が行っている。この連載は編集部の「へんたいオグラ」さんと、「へっぽこマツダ」さんが二人で全国のキャッチ・アンド・リリース区間や釣り堀へ釣りに行くという企画だ。

毎号楽しみに読んでいるのだが、オグラさんはたいていよい結果を出しているのに、マツダさんという方はたいていボウズをくらっている。たまーに釣れると、おどろくほどおおげさに涙を流して喜んだりする。今回もオグラさんは渋い状況の中でしっかりヤマメを手にしたのに、マツダさんの方はやっぱりボウズだった。

釣り師における〝釣り運を持っているひと〟と〝持っていない人〟の違いについては、『フライの雑誌』誌面で検証したいと以前から思っている。そのときには「持っていないひと」代表ということで、マツダさんに取材を申し込もう。「どうしてあなたは釣れないのでしょうか」と。ころされるかな。

ちなみに本連載のイラストは編集マツダさんのしごと。こんなすてきな絵が描けるんだから、釣れなくてもいいじゃん。ねえ。今号巻末の名物連載「名渓さんぽ道」で、マツダさんの文章に添えられたすてきなイラストは瀧原祥さんの作品です。

新刊紹介のコーナーでは、小社新刊『葛西善蔵と釣りがしたい』を、「これから出る本」ということで、小社の既刊本とともに、「読んでみたい本」としてきちんとした文章で紹介してくださった。『葛西善蔵と〜』は例によって発行が予定より遅れた。たぶん今号の編集締切にはぎりぎりのタイミングだったはずだ。そのことによって徹夜つづきの編集者を決定的に死亡させたにちがいない。正直スマンかった。そしてありがとうございました。

誌面に登場している大井川源流域
誌面に登場している大井川源流域

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