朝日新聞「プロメテウスの罠」の淡水魚の放射能汚染シリーズ、「釣ったら放せ」が終わった。
残念ながら少しも原発批判になっていない。これで原発のない未来を読者は想像できたのだろうか。来たる選挙で原発批判の票は増えたのだろうか。
臭い匂いは元から絶たなきゃダメ。匂いの元への批判精神なしに「ガンバロー」を連呼するのが、ジャーナリズムなのだろうか。もっとも「釣ったら放せ」シリーズへの世間からの反響は、これまでのシリーズに比して少ないようだ。
原発被害に翻弄される人間ドラマを描くのがこの連載の趣旨らしいが、そっちの方の描写も今回はいまさんだった。挙げ句の果てにさかなクンと子どもたちのこころあたたまる交流を持ち出して、ちゃんちゃんとは。いや、さかなクンは個人的に大ファンです。
連載が始まる前に、フライの雑誌社は担当記者さんから取材を求められていた。取材先を紹介し、4月末に立川の喫茶店へわたしが出向いて、用意した資料を渡した。釣り場と魚の放射能汚染への思いを、釣り人としていろいろ熱く喋った。
連載始まる前に「いよいよ始まります」みたいなメールが一本来た。「がんばってください」と返信すると「ありがとうございます」と返ってきた。連載途中で記事について少しばかりの批判的ニュアンスを交えた感想を送ったら、そちらへの返事は来なかった。
以上おしまい。
ちなみにわたしが紹介した取材先は完全に無視だった。ご希望の路線に沿わなかったのでしょう。
いま思うと朝日新聞の記者さんを相手に、わたしはなんであんなにキモチを突っ込んで対応したのか。看板連載へ署名記事を書く記者の力量と覚悟への幻想があったのかもしれない。自分がちと恥ずかしい。
さ、忘れよう。(堀内)
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> 淡水魚の放射能汚染まとめ/放射能汚染を釣り人としてどう受け止めるか(フライの雑誌社)