8月上旬発売・『フライの雑誌』次号第100号の「日本釣り場論」は、「イワナをもっと増やしたい!」著者の中村智幸さんへの、最新サイエンス・インタビューです。
今秋のイワナ、ヤマメ、アマゴの産卵期へ向けて、釣り人必読。約1万字、リーフレット一冊ぶんの濃厚な中身を、わかりやすいインタビューで構成しました。8ページぶち抜きの大ボリュームでお届けします。じつはこの記事、3年越しの取材が実ってやっと今回掲載となりました。
ただいま編集中! ここではリード文と本文書き出しを紹介します。
※中村さんが制作に関わった水産庁パンフレットを、リンク先で無料ダウンロードできます。最新情報は「渓流魚の増やし方~放流と自然繁殖を上手に使いこなす~(PDF:2,861KB)」で。
●イワナ・ヤマメの人工産卵場の造成技術を日本で初めて開発したのは、水産総合研究センター増養殖研究所の中村智幸氏だ。小誌での連載を単行本『イワナをもっと増やしたい!』にまとめて上梓した。以来渓流魚の人工産卵場作りは全国各地で大流行だ。しかし魚がふつうに産卵できる自然環境が守られている状態がいちばんいい。中村さんは「人工産卵場は次善の策です」と強調している。
●一昨年秋の信州でのイベントで講師に呼ばれた中村さんが「人工産卵場に関する情報提供の広がりは、これくらいでいい。魚を増やす方法は他にもたくさんあります。」と言った。より効果的で自然に近い増殖方法を、現在研究している。
●今春から初夏の2回、奥日光の研究所へ中村さんを訪ねた。おどろく話の連続だった。これまでの渓流魚の増殖方法の常識が、ひっくり返されてしまうかもしれない。(以上リード文)
稚魚放流の増殖効果はもっとも低い
─ いきなり本題です。漁協による渓流魚の主な増殖方法として、稚魚放流、成魚放流、発眼卵放流、それに最近では産卵場の造成があります。成魚放流に比べて、稚魚放流と発眼卵放流はよりきれいな魚をふやす方法として、各地で盛んに行われてきました。自分たちの手で発眼卵放流をがんばってきた釣り人も多い。
今回、まず最初にうかがいたいのは、中村さんたちの最近の研究で、稚魚放流由来魚・発眼卵放流由来魚と自然繁殖由来魚とのあいだで、おどろくほど生残率がちがうことがわかった、ということなんですが。
中村 稚魚放流と発眼卵放流、自然繁殖の三者間で比較しました。一番目立ったのは、、、