北海道・環境生活部環境局・生物多様性保全課のウェブサイトを紹介。
先ごろ話題になった「北海道生物の多様性の保全等に関する条例(生物多様性保全条例)」、北海道ではコイもイタチもトノサマガエルもカブトムシも外来種なニュースの元。
7/18に『フライの雑誌』編集部は、北海道生物多様性保全課へ電話取材した。本条令で規制の対象になる「指定外来種」はH26年以降に確定させる予定とのこと。
指定外来種になれば、本来の生息・生育地以外に放つ、又はまくことなどを禁止される。はやい話が、川や湖へ放流できなくなる。違反者には30万円以下の罰金の刑が処される。
現在北海道が指定している「外来魚のブルーリスト」は36種。これまでの経緯から類推すると、指定外来種の議論の俎上に乗りそうなのは以下の6種だろう。
ブラウントラウト
ブルーギル
カワマス(ブルックトラウトのこと)
ニジマス
オオクチバス
コクチバス
ブルーリストなるものの中身を見ると、ほぼ内水面を生息域とする魚がほとんどで、かつ現在北海道にいる魚でリストに入っていない方が圧倒的に少ない。ドジョウもコイもアブラハヤもメダカも、全部北海道以外からの外来種ですと言われたって、多くの人にとっては「それで?」が実際だろう。
サクラマス(アマゴ)は、サツキマスの間違いでは? と確認すると、道が参考にしている分類学の資料では「サクラマス(アマゴ)」になっているとのこと。そう主張している魚類分類学者がいるんだそうだ。そうですか。
ニジマス、ギンザケ、マスノスケは外来種で生態系に影響を及ぼすからうんぬん、という一部の主張に対して、これまでそれらの増殖に人生をかけてきただろう水産系の行政や研究者からは、断乎とした異論が提示されていないようだ。あるなら教えてほしい。
国内移入種の魚を排除したら、北海道の川や湖にいま息づいている生態系が崩壊するのは明白だ。人類の歴史は移動と変化の歴史だ。そもそも北海道にとって最大の外来種は和人ではないのか。
北海道では、今後「色々な方からのご意見を伺った上で」指定外来種を決めていく、と言っている。現時点ですでに多くの方からの意見が生物多様性保全課には届いているそうだが、パブコメやるかどうかは未定。特定外来生物法の時のような騒ぎになるのを避けたいようで、これからの議論の過程をあえて隠そうとしている匂いがする。
あくまでたとえばの話だが、今の内に、
〝ニジマスは北海道の川や湖で世代交代を繰り返している。北海道ならではの野生の魚として長年にわたり道民から広く利用され、親しまれているニジマスは、指定外来種にはふさわしくない。また、現在の分布状況から考えるに指定外来種へ指定してもその効果を得られない。〟
というような意見の、電話一本、ファクス一枚、メール一本を生物多様性保全課へ送るだけでも、今後の議論の参考意見になるかもしれない。
[本条令の担当窓口]
〒060-8588 札幌市中央区北3条西6丁目
北海道環境生活部 環境局生物多様性保全課
TEL (011)231-4111 (内線 24-361) 生物多様性保全グループ
FAX (011)232-6790
E-mail: kansei.shizen1@pref.hokkaido.lg.jp
> リーフレット『北海道の生物多様性を保全するために』 早わかり
> [北海道外来種データベース 北海道ブルーリスト 2010]より魚類:
ブラウントラウト、ブルーギル、以上A1類、カワマス、ニジマス、以上A2、タイリクバラタナゴ、キンギョ、グッピー、ナイルティラピア、カムルチー、ゲンゴロウブナ、コイ、タモロコ、モツゴ、キンブナ、サクラマス(アマゴ)、ナマズ、以上A3、コクチモーリー、カワスズメ、オイカワ、シナイモツゴ、アブラハヤ、メダカ、ドジョウ、以上B、ソウギョ、ギンザケ、オオクチバス、コクチバス、ヨーロッパウナギ、アリゲーター・ガー、以上C、アオウオ、マスノスケ、シナノユキマス、コレゴヌス・ペレッド、以上D、ノーザンパイク、ロングノーズ・ガー、スポッテッド・ガー、以上E。