日本のフライフィッシングは、もともと少数のおっさんが互いにどこからか情報をとってきては小出しにしてヒソヒソと喜んでいた、ごく狭いマニアの世界から始まりました。そんなヒソヒソ話の題材には竹竿(バンブーロッド)はぴったりです。
このたびつり人社さんから出たバンブーロッド本、『The History of Bamboo Fly Rods』(著:錦織則政氏)を紹介します。
19世紀から20世紀にかけての近代フライフィッシングの発展の過程を、「竹ザオをめぐる職人と釣り人たちの歴史」を軸にまとめ上げた渾身の著。アメリカ、イギリス、そして大陸ヨーロッパを中心に、レナード、ハーディー、ギャリソン、ペゾン、パウエル、ウィンストン……といったメーカーの勃興と栄光の道筋をたどりながら、一大歴史絵巻として読み解く。月刊『FlyFisher』誌上で2012年4月号から2013年8月号までの17回にわたって掲載された好評連載に、新章やコラムを大幅に加筆修整のうえ再編集。竹ザオ好きはもちろん、フライフィッシング・ファンなら誰でも見逃せない。
『FlyFisher』誌での連載をベースに加筆。貴重な図版と共に一冊にまとめてあります。フライフィッシングに興味がない人にはまったく興味がないだろう、バンブーロッドに関する本当に細々とした史実を掘り起こし、脇道小道の衒学趣味をつめこんだ、どヘンタイ直球系の一冊と言えます。(これは私どもの世界では最上級のほめ言葉です)
思いおこせば、バンブーロッド絡みの編集企画は創刊以来『フライの雑誌』のお家芸でした。最近ですと「American Bamboo Rod Builder Stories」の新連載を開始した「ただ一本の竹竿(バンブーロッド)」特集を組んだのが、2010年の第91号でした。好評をいただいて第92号の「ただ一本の竹竿(バンブーロッド)2」、第97号の「ただ一本の竹竿(バンブーロッド)3」と続きました。(バンブーロッド3冊セット)
その流れで勢いに乗って、アメリカのやはりどヘンタイ系の出版社であるThe Whitefish Pressさんと提携し、日本からバンブーロッドのスゴい単行本を出します、書名は『バンブーロッド教書』です。とフライの雑誌社が宣言したのが2011年の秋。もっと深いものを、もっとヘンタイなものをと欲張っているあいだに、ずいぶん長い時間がたってしまいました。ごめんなさい。発行の遅れをもうどれだけ謝っているか見当もつかないほどです。ここにきて、ようやく『バンブーロッド教書』のご予約をうけたまわる段取りになりました。『フライの雑誌』100号に挟み込んだ読者カード(切手不要)でもご予約できます。よろしくお願いします。
> 『バンブーロッド教書』(予価3000円台)をメールでご予約はこちら
そんな小社にひきかえ、つり人社さんは去年の4月号から連載を始めて、もうこんなに中身が濃ゆすぎるどヘンタイな単行本にまとめてしまうなんて、本当にすばらしいと思います。もちろん筆者さんの実力とどヘンタイさ加減があっての大仕事です。雑誌連載時より文字サイズ、レイアウト共にずっと読みやすくなっています。
まだ出たばかりで中身をじっくり読みきれていませんが、とりいそぎご紹介させてください。この『The History of Bamboo Fly Rods』は、バンブーロッドマニアには必携の一冊になることは間違いありません。まずはずっしりとしたその重厚なボリュームをお手にとって感じてみてください。