池をつくろうと思う。37

先週までは一日で10センチ減っていた池の水は、今週になって、6時間で8センチ減るようになった。池のどこかに空いている穴が、じわじわと大きくなっているのだ。

池の水が漏れるという名の病が治らない。そして治るはずもない。

いまわたしは、朝に池を眺めては俯いてホースで水を足し、昼に池をのぞいては空を仰いで水を足し、夕暮れに池を見やっては石を呑む思いで水を足す。

じょぼじょぼと。

まるで池の水を保つためだけに生きているようなわたしの毎日だ。

事態は刻一刻と坂道をころげおちていく。

まずはこの水漏れを治してからでないと、東京へのオリンピック招致なんて国際的に恥ずかしい。

というか、むしろ一蹴してほしい感じです。

常に差し水しているので水質はひじょうにきれいだ。夏越しを心配していた銀バヤたちの状態もいい。彼らは彼らの明日の命がわたしの水足しにかかっていることを知らない。
常に差し水しているので水質はひじょうにきれいだ。夏を越せるかどうか心配していた銀バヤたちの状態もいい。気持ち良さそうに池の中を泳いでいる彼らは、自分たちの明日の命がわたしのホースじょぼじょにかかっていることを知らない。人生なんてそんなものだ。

だから今日も水を足そう。
だからわたしは今日も水を足そう。そして秋になったら大改修工事を。秋までもってくれるかどうか。