〈マスを騙すつもりが、詐欺サイトに騙されて釣られてしまった話〉

本誌読者のご経験談です。ご紹介します。

〈マスを騙(だま)すつもりが、詐欺サイトに騙されて釣られてしまった話〉

〝騙されてもいいと思って少し怪しいサイトでエアロドライウィングを2つ買ったら、本当に詐欺サイトでした。マスを騙すつもりが、バカが騙されて釣られてしまったとういう話です。警察に被害届を出しました。『フライの雑誌』の読者のみなさまは釣られないでくださいね。〟

と、私の詐欺経験を『フライの雑誌』ウェブサイトに載せてくださいと、フライの雑誌の編集部にずうずうしくメールをしました。お手数を少しでも減らそうと思いあっさりと書いてみたところ、「もう少し読み物にして下さい」とのご指摘を受けました。そういった訳で、経緯をお知りになりたい方は続きを読んでください。

私は下手の横好きの典型の46歳のつり人、東京都下在住、男、現在無職です。タイイングが好きで、フライを友人やオークションで趣味程度に売っています。インターネットの購入者は実に様々ですが、やはり反応良く売れるのはスタンダードパターンで、しかも、ある程度安価でなくては見向きもされません。(ある意味、まるでフライフィッシングではないですか!!)

ちなみにオークションの落札額は、原価に毛が「生えない」くらいです。そういった経緯で、「商売ではないが、やはり少しは手間賃くらいは欲しい」と下心を抱き、仕入れ値を下げるためにスタンダードなマテリアルを低額で探すようになりました。

インターネット通販をご利用する方は、送料と支払い方法を気にされると思います。送料と支払い方法によっては、全く割安にならにい場合があるからです。かといって、むやみやたらとクレジットカードの情報を書き込むのも怖いので、私の場合は、初めてのお店や怪しいお店の場合は、銀行振り込みにしています。相手の銀行が自分の銀行と合っていれば手数料がかからず申し分ありません。

今回詐欺被害に遭ったのは、エアロドライウィング2コです。10月27日に、グーグルで「エアロドライウィング」で検索して、3ページ目くらいでこのサイトが出てきました。1ヶ536円、送料無料、振込銀行は表記がありませんでした。もし振込手数料210円を取られたとしても、1ヶ641円。マテリアル以外もかなり安く送料も無料なので、これはいいサイトを見つけたという感じでした。

今回は様子見という感じで、エアロドライウィング2つだけを購入すると、即座に自動返信メールが来て、関西アーバン銀行の口座と総額が書いてありました。日本語が少し妙な所がありましたが、2ヶ分の1072円をネットバンクで支払い、支払いが完了した旨を返信しました。というのが購入までの経緯です。銀行に振り込む時に思ったのは、「少額だから、だまされてもいいか」ですね。

さて、2日待っても全く連絡が無いので、さすがにおかしいと思い、営業日を調べたり、サイト内の問い合わせにメールをしたりしましたが返信はありませんでした。サイトに電話番号の表記はなく、やはりところどころ日本語がおかしいので、詐欺サイトの検索などをしてみましたが該当する名前はありませんでした。

その後はのんきに荷物を待ちましたが、一向に連絡も品物も届かないので、11月3日に近所の警察署に電話して経緯を説明すると、まずは、品物が届かない旨を書いてハガキを出すように言われました。

これはもし相手が何らかの理由(たとえば病気)で品物を発送できないでいる可能性もあるのと、詐欺の場合は、たいてい存在しない住所か、全くの他人の住所になっているので、ハガキがもし戻ってきた場合は、第三者による最初の裏付け(証明)になるからだそうです。その日はあいにく日曜日で、翌日も祝日だったので本局から速達でハガキを出しました。

そして案の定、11月6日に「当て所に尋ねあたりません」のハンコが押されて戻ってきたのです。

11月8日か9日に警察署にまた電話をすると、今度は銀行へ問い合わせをして下さいと言われました。振り込んだ口座が詐欺被害の口座であるかどうか教えてくれるのだそうです。言われるがままに問い合わせると、その口座には多数の被害届が出ていて、すでに凍結されているとの事でした。

再度警察に連絡すると、では被害届を作成するので、戻ってきたハガキ、振込が記帳されている通帳、プリントアウトした取引画面、ハンコ、免許証などの身分証明書を持って署まで来てくださいとの指示を受けました。

人生初の被害届でしたが、つい最近に建てられた警察署なので、「太陽にほえろ!」よりずいぶんと現代ビジネスチックな取り調べ室での書類作成となりました。ただ、書類はその場で作成されるのではなく、刑事さんが被害経緯の文章をまとめて、その後、自宅にこられて内容確認し、サインとハンコを数箇所に押して終わりでした。ちなみに書類としては私の手元には何もありません。被害届受理番号というものだけが伝えられました。

犯人が捕まれば連絡が来るそうです。また、犯人が捕まらなくても、被害者措置で凍結した口座の詐欺被害と思われる金額を案分して、少しはお金が戻ってくる様です。非常にめんどうな手続きがあるだろうとは思いますが・・・。

私の他にも多数の被害届けが出ているのはこちらのサイトです。
(売値が安く、送料も無料!!)
●●tp://www.fertedpime.com/

さて、私がだまされたフライ(サイト)の出来をもういちど見てみましょう。今となれば、サイズも季節もマッチしていないぶさいくなフライが、極太のティペットでぶりぶりと、ドラッグかかりまくりで流れてきているように見えます。我ながら、よくこんなフライに食いついたなあ、というのが実感です。

(東京都/K)

★編集部から: 上記のURLは一部伏せ字にしてあります。本誌は基本的に実名主義ですが今回はご寄稿者のお名前をイニシャル表記としました。