ビアズリーのやりすぎ画集がすごい。 Post:2013/12/262013/12/26 19世紀末を駆け抜けた反逆のお耽美画家、オーブリー・ビアズリーの画集を紹介します。『バンブーロッド教書』の造本でもお世話になった東京印書館さんの最新の仕事です。まず表1の銀箔の豪奢と緻密さに驚嘆。拡大。これやりすぎでしょう。すごすぎる。こんな抜きの箔は見たことがない。あぜん。サロメです。オスカー・ワイルドです。よく見ると特色のアミを敷いてその上に絵がノセになっている。ぜいたくな。本全体を通しての調子のバランスがすばらしい。25歳で夭折した天才ビアズリーがこの画集を見たらなんというだろう。よくぞここまで、という最新の印刷技術と職人の意地を集めた見事な一冊。美術印刷で世界的に名を馳せる東京印書館さんならではの仕事。凝りに凝った造本のこの画集を手にして、出版というしごとがおカネもうけからもっとも遠く離れているアソビであることを逆説的に再確認しました。そして、あってもなくてもお腹の足しにはならないけれど、こうした余録の文化こそが、ひとがひととしてあるための存在証明であろうと実感しました。そのあたりの無為なる価値感は、我らがフライフィッシングの底なし沼も同じこと。文化の価値をおカネに換算して腹の中でそろばんを弾くような野暮な大人にはなりたくないなあ、とわが身を律した次第です。吹けば飛ぶよなわが社は、作りたい本、作るべき本と費用との兼ね合いでは常に悩まされています。おかげさまで意識の高い読者の皆様と協力会社様に支えられていることに感謝して、次代に残るしごとを続けていきたいと考えています。 ・ 解説・監修: 海野 弘Size:B5判Format:257mm×186mmPages:296(Full Color)Binding:ソフトカバーISBN:978-4-7562-4417-8 C3071発売元 パイ インターナショナル