「北海道外来種対策基本方針」について、北海道がパブリックコメントの募集を始めました。北海道はこの条令をもとに、ニジマスをはじめとしたマス類を指定外来種に指定して、北海道の河川湖沼から防除(駆除)する可能性があります。
『フライの雑誌』では過去何度もこの問題について記事化してきました。
北海道外来種対策の問題点と、本誌の考え方は、下記【参考資料1】の通りです。
このパブリックコメントへは、だれでも意見を送ることができ、居住地による扱いに差異はありません。北海道環境生活部環境局生物多様性保全課に確認しています。
この度、北海道生物多様性の保全等に関する条例に基づく、「北海道外来種対策基本方針」(素案)を取りまとめましたので、広く道民の皆様からご意見を募集します。
1 意見を募集する基本方針の名称
北海道外来種対策基本方針(素案)(pdfファイル:212KB)パブリックコメント募集
平成26年1月8日(水)から平成26年2月7日(金)まで
※ 最終日必着
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/gairai-kihonhoushin.htm
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追補1: 近年北海道において、マス釣りのフィッシングガイドを業務として行っている釣り人が複数名いらっしゃるようです。そのような方々は自ら興味を持ち、機会あるごとに積極的に意見表明するべきでしょう。
追補2:在来種と外来種について
1992年のリオ環境サミット以降、生物多様性の言葉がマスコミに登場する機会が多くなった。日本の在来魚が減少しているのは、ブラックバスに代表される外来魚による食害のせいだという主張が2000年前後に出現した。そのころの国内経済は、デフレーションに悩まされていた。不況への苛つきから派生したナショナリズムと、外来種の排斥運動とが結びついた。
2004年に特定外来生物法が新しく公布された。これにより、国が指定した特定外来生物を税金を投入して駆除する仕組みができ上がった。生物多様性を根本から破壊するのは自然破壊や開発行為であるが、この法律では規制していない。
人間の手が入って長い時間がたった二次的自然や、改変自然がほとんどを占める日本の国土では、生物多様性の概念を法律や条令で、一律に当てはめることはそぐわない。
外来種だから殺せ、在来種だから守れという単層化した意見には、生物多様性保全から離れた排外主義やレイシズムの匂いを感じる。そもそもいまの日本の自然で、移入種を一律的に排除したら、川や湖の生態系は崩壊する。角を矯めて牛を殺すことになる。
サンクチュアリ的なゾーン以外では地域住民と利用者との話し合いの中で、身の回りにいてほしい生物相を考えていくことが現実的だ。
(文責/堀内正徳)
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【参考資料1】
北海道のニジマスは指定外来種にふさわしくない(?)|フライの雑誌社
【参考資料2】
フィールドレポート「ブラウン駆除の次はニジマスだ」(三浦幸浩/『フライの雑誌』第62号)