「あの…えっと、それってかなり本格的なんですけど、ずいぶんと馴れてらっしゃるんですね」
「こいつがないと、釣りに来た気がしなくて」
彼は照れ笑いを見せ、ペーパードリップにためた豆の粉に湯を垂らし始めた。
この会話に読み覚えのある読者もいらっしゃると思います。樋口明雄さんの「夏のおわりに 『天空の犬』外伝」の一節、『フライの雑誌』第100号記念号に掲載したものです。読者カードでの反響も上々でした。
このたび、徳間書店から出た樋口さんの単行本新刊『ハルカの空』に、この「夏のおわりに」が小冊子となって、特別付録でついてきます。
〈『フライの雑誌』第100号/2013年夏秋号〉の初出誌キャプションも巻末にしっかりと。樋口作品を応援している書店チェーン、文教堂さんの店舗限定で配布されています。
『天空の犬』『ハルカの空』の装丁画は、小誌にもたびたび登場してくれているフライフィッシャーのイラストレーター、つがおか一孝さんの作品です。