「釣り行こうよー」

いちおう次号第102号の締め切り前なので、毎日まじめに仕事しています。今日も朝からそれなりにがんばっていました。

あー、つかれたなあ、ひと休みするか。年寄りのねこみたいに伸びをしていた夕方近く、編集部のある二階へ下の道路から声がかかりました。「釣り行こうよー」。

窓のブラインドをあけてのぞくと、近所の小学生男子二人が道路でにかにか笑ってこっちを見上げています。またあいつらか。しようがないなあ。まあ、誘ってもらえるなら、こっちもきらいな方じゃないし、「行くカー」。

昨日の夕方の釣りはじつはちょっといまいち、納得がいかない感じでした。ライズはめちゃたくさんあるのに、毛バリには出てこない。出たとしてもフッキングしない。なぜだろう。

フライパターンなのか、流し方なのか。どっちもいつもと同じだよと。では魚がひねくれているのか、でもハヤだよと。人間の腕がわるいのか、人間はオレだよと。本来この季節のハヤ釣りはそんなに悩むほどのしろものではないだけに、いったん悩みだすと少々ややこしいことになります。

時計を見ると午後5時ちょっとすぎです。まだ間に合うと、昨日思いついたフライパターンをいそいで4、5本巻きました。それぞれちょっとドレッシングを変えたって、一本2分もあればちゃちゃっと巻けます。シンプル・フライフィッシング。

巻きたてのフライを小さなプラケースにパカッと入れて、ハリスとハサミをポケットに突っ込んで、つなぎっぱなしのフライロッドを物置から取り出して川へゴー。約60秒で釣り場に到着。

パンツのすそをまくりあげて水に入りました。初夏の夕方の地元のちょい釣りなら、わざわざ長靴履くより、サンダルのまま川へじゃぶる方が気持ちいい。微妙な水温変化を肌で感じられるという特典付きです。上流でにわか雨でも降ったのか、水温がちょっと下がったみたいだね。

で、今日のハヤ釣りはこれがもんのすごくむずかしかった。ライズ少ない、ライズに投げてもフライは無視する、ごくたまに出てものらない。のったとしてもバレる。(ほんとにハヤかよ!)と心の中でさけんだらじっさいに声に出ました。

犬を連れた散歩のおじさんが、土手の上で立ち止まってこっちを見てる。いえいえ、どうぞお散歩を続けてください。あやしいものではありません。ただの釣れていない釣り人ですから。

ふと、横の小学生男子を見ると、二人でじゃれ合いながら一本のフライロッドをかわりばんこに投げています。ふうん、わりとまともに投げられるようになったんだね。バックキャストのときにリストが開く癖を矯正すればもっと…、あ、釣った。釣りやがった。

今は忙しいということになっているんですが、明日の夕方も川へ立つことになりそうです。

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