締め切り前の新展開

右の足の親指が、外側の皮だけになって、本体の肉とツメはすっかり無くなっている。「ありゃあ、ひどいことになっちゃったな」。スプーンで中身をくり抜いたグレープフルーツみたいな右の足の親指をわたしは上からながめて、「あんまり痛くないのはなぜだろう」と思っている。一方、左の足の親指は根元からない。ヘタを打ったか。いつ詰めたんだっけ。

墜落してくる輸送機に延々と追いかけられたり、大岩を攀じている途中で進退窮まったり、誰だかよく分からないエラい人に「おまえは落第だー」とエンドレス説教されたりは、締め切り前のいまの時期の定番だ。でも足の親指がどうこうというパターンは、いままで一度もなかった。なんで足の親指なんだろう。

これは、「まさのりはもうすっかり疲れ切ってしまって走れません」という敗北宣言なのか、身体もこころもわりとすごいことになってるけど、右の足の親指の外側の皮はまだ残ってるから、まだなんとか大丈夫、という自分への発破なのか。

「お客さんやさしいから、今夜は楽しいわ。サービスするなァ。」とさびしげに微笑んでいた川反町のゆめちゃんの顔も思い浮かんできた。延長すればよかったな。なんでそんなにむかしのことを。

40代も下り坂になっていまさら新しい展開です。

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