「はいフライの雑誌でーす」
「どうもXです」
「あどうも、今回はご寄稿ありがとうございました。85号は届きましたでしょうか」
「届いたんですけどね。なんですかあれは」
「はい?」
「文章が途切れ途切れで意味分かんないですよ」
びっくりして85号のX氏のページを開いたら、たしかに3行おきくらいで文字が一個ずつかすれていて読めない。一文字ずつなので全体としては一見まともにみえる。それで校正のときに見落としたのか。
「あの、たいへん、たいへん申しわけありません」
「どうするんですかこれ。まさかこの状態で配本してないですよね」
「なんというか。はい」
「どうするんですか。ねえ、どうするの」
「・・・」
脂汗じっとりで息が詰まり、「ううう」という自分の唸り声で目が覚めた。最悪の朝である。
すると今朝、講談社の『モーニング』誌の目玉連載「バガボンド」が乱丁して流通してしまい、編集部は土下座、作者の井上雄彦氏が「何でこんなミスが起きるのか解らん。理解不能。怒りすら通り越してただ呆然…」と、自分のウェブサイトで激怒しているというニュースが流れた。
なんというか他人様の不幸の予知夢でなんでおれがこんなにぐったりしなくちゃいけないの、と理不尽な思いでいっぱいです。