現代の日本には川と湖の漁師さんが38万人もいる

「ダム建設に賛成の漁業者」って、その時点でふつうにおかしい。しかも「賛成だからカネよこせ」と言う。水産庁によれば、川と湖の漁師さんが現代の日本には38万人もいることになっている。でも直近10年間で15万人も減ってるそうだ。だからたいへんなんだと国は言っている。よく言う。

漁師さんが困ってるし、川と湖の環境が〝変化〟しているから(彼らは〝悪化〟とは言わない)税金で応援しようというのが、できたばかりの内水面漁業振興法だ。川と湖の漁師さんの集まりである、全国内水面漁業協同組合(全内漁連)が応援している国会議員が発案して、衆参両院の全会一致でこの6月に成立した。発議から成立まであっというまだった。

山形県の小国川ダム計画は、前組合長の自殺という哀しい事態まで引き起こして、大もめにもめている。でも水産庁も全内漁連も小国川ダムを止めるためになにも働かない。それはある意味当然だ。だってダムを欲しがっているのは国で、県で、漁協なのだから。「ダム建設を承認する決議」を漁協が総代会で賛成多数で可決したというのはそういうことだ。

釣り人のわたしは、日本という国に魅力があるとすれば、変化に富んだ美しい国土で、独特の釣り文化に育てられた四季折々の釣りを楽しめることだと思う。世界のほかの地域にひけをとらない。わたしがいなくなった後の世代にも、日本の美しく楽しい釣りと釣り場をつなげたい。

朝日新聞を「反日&売国」だと見当違いの批判をしている釣り出版界のえらい方がいるようだが、わたしに言わせれば国を売っているのは国そのものだ。ダム建設にしろ原発にしろ、国が進めてきた政策だ。おかげで日本の釣り場はたったこの50年間でズタズタにされてしまった。今や消えゆく寸前だ。

色々考えていくと、半分いやんなってくるが、あきらめなければひょっとして明日はいい風が吹くかもしれない。釣り人は究極のオプティミストである。ばかとも言う。

とそういういろんな思いをこめて、内水面漁業振興法ってなんなんだ、釣り人にとって役に立つんですか? という記事を次号第103号の『フライの雑誌』に載せます。

読んでね。これ以外の記事は楽しいはず。

水産庁 内水面漁業・養殖業をめぐる状況について(PDF:1,247KB)2014年8月
水産庁 内水面漁業・養殖業をめぐる状況について(PDF:1,247KB)2014年8月

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『フライの雑誌』最新第102号
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