もう二時間以上もこの場所でおまえを待っている。昨年も一昨年も、おまえに出会った。最初おまえは、12ポンドテストのラインを引きちぎり、次はルアーのフックをのばした。そして去年は、ギャフを取り出すそのすきに、水中ででんぐり返り、太い尾でラインを叩き、鈎をはずして悠々と泳ぎ去った。(「カムイたちの後裔」鍛冶英介より)
あおるなあ。そういえば同じ著者の「北海道の湖と渓流」に、頭の中をぐるんぐるんかき回されるくらいにあおられたのは、もう20年以上も前のことです。こっちの頭の中も20年以上かわってないということか。うれしいような、かなしいような。