たった一回「金時しょうが」買っただけなのに、何回も何回も日本文化センターさんからご案内がくる。
と、今年の始めにグチった。だんだん寒くなり申してきた11月の末はおとといの朝、頭が痛くて体温を測ったら34.9度で、ついさっき、またちょっといやな予感がして測ったら、34.8度になっていた。
去年みたいに33度台に突入する勢いで、順調に落ちてきている。
今年の1月、八王子駅前の薬局のお姉さんに「体温を上げるクスリはないですか」と相談した。すると「体温を下げるクスリはあるけど、上げるクスリはないんですね」と言われた。わたしは「そうですか」と肩と体温を落とし、お礼を言ってその場を去った。目鼻立ちの整ったお姉さんが気の毒そうな表情をしてくれたのは、ちょっとよかった。
わたしの場合、釣りに行かないと体温が下がるようだ。
それが証拠に、3月の渓流解禁を迎えて以降は、体温のことを気にしていなかった。渓流禁漁になった最近になって、しょっちゅう頭ががんがんする。念のため言っておくと二日酔いじゃないです。渓流解禁とわたしが凍るのとどちらが先だろう。
そんなわけで今また、「金時しょうが」を買いたい気分になっている。体温下がる者は、効いてるのか効いてないのか分からない、金時しょうがをもつかむ。
日本文化センターさんから金時しょうがを買って以降、日本文化センターさんの顧客名簿に、フライの雑誌社の電話番号と住所が登録されたらしい。この半年でしょうがばかりじゃなく、青汁ジュースとか、妙な丸薬とか、健康保険とか、いろいろ積極的な営業を受けた。
締め切り直前でぴりぴりしてる時、とつぜん編集部の電話が鳴って、明るい声で「日本文化センターでーす。」とかいわれると、けっこうガックリくる。青汁いまはいらないです、はいごめんなさい。
もしまたここで「金時しょうが」を買ったら、女郎蜘蛛の巣の中へ自ら飛び込むようなものだ。今度こそ青汁ジュースとか、丸薬とか、保険とか売りつけられてしまう。でもしょうが買わないで体温33度になると妻が泣くし、どうしよう。