サケの孵化放流、どうしたら?
2015年1月13日 朝日新聞に興味深い記事があった。
「日本では川を養殖場のように扱い、自然のプロセスを考えず人間の都合だけで魚をコントロールしている。そんな川にはしない」。
ショックでしたが、納得もしました。私は当時、米国でサケの仲間のスチールヘッド(降海型ニジマス)の遺伝的解析をしていて、孵化放流魚がともに産卵する野生魚に明らかな負の影響を与えることを論文にしていました。
…すると1世代目の放流魚は野生魚より4割少なく、2世代目だとさらに4割減ることが分かりました。遺伝子に組み込まれたものが変化し、次の世代に伝わっているのです。産卵能力や子どもが川に戻る能力が落ちていると考えられます。
…豊平川に野生サケの個体群を維持するには、これに加えて野生魚が生き残れる環境づくりが大切です。産卵床の作りやすい川底を増やすことや、融雪出水の濁りの解消、増水時の稚魚の避難場所の確保などを進める必要があります。
サケ・マスの人工ふ化事業は日本の水産施策ではある意味、聖域扱いされてきていた。こういう記事が一般紙に出る時代の流れになったのだなと思う。リンク先で全文にあたってほしい。
・・・・・・
サケ・マスの人工ふ化事業に疑義を呈し、川を遡上させて自然に産卵させる〝エスケープメント〟を紹介している注目の単行本、「桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!」(水口憲哉著)について、本文の一部とコラム3本を無料公開中です。現在公開しているコンテンツは以下の通りです。
Ⅰ 美しき頑固もの、サクラマス
コラム サクラマスの起源を考える 022Ⅱ サクラマス・ロマネスク
サクラマスのロマンと資源管理 024
コラム ヤマメとサクラマスとを分ける鍵、スモルト化 030
コラム サクラマスの海洋生活と母なる川 038
※予告なく公開を取りやめる場合があります。
「桜鱒の棲む川」のページからどうぞ。