「あーでも、分かる分かる」

原稿を受け取りに出かけた東急世田谷線車内で、20代前半女子二人の会話。

「あーでも、あたし子どもは産んでみたい」
「あたしも産んでみたい。あーでも痛そう」
「痛いって言うよね」
「痛そうだよね」
「結婚するなら二番めに好きな人とするのがいいって言うよね」
「言う言う」
「いちばん好きな人と結婚したら冷めた時がこわそう」
「別れた元カレ見るのはキモいもんね」
「キモいキモい」
「つきあおうか、って言われたらすぐに答える?」
「うん。あーでも、分かんない」
「あたしはたとえ好きでも一晩考えてからにする」
「あーでも、分かる分かる」

一人は池袋ニュアンスの入った眼鏡にマスク、一人は最近よくあるゆるふわ系。眼鏡の方は外套の上からでも分かるほどの、とてつもない巨乳だった。べつにそこのあたりをことさら観察していたわけではない。たまたま目に入ったのだから仕方ない。いや実際に、巨乳がわたしの目の中に入ったわけではもちろんない。もうこの話題はここらへんでやめる。

どうってことない会話だが、市中でこういう会話に接すると、今日はたいへん勉強になったな、トクしたな、と思う。都会は面白い。都会が面白いのは色々と華やかできらびやかだからではなくて、単に人間が多いからだ。人間が面白いのだ。でも日野に帰ってきたら、なんだか人酔いしたみたいで、ぐったりしているところ。

「別れた元カレ見るのはキモい」。そうなのか。

下高井戸駅でお買い物をしたら、わたしのPASMOをなかなか認識してくれない。PASMOをスキャンの機械へ押しつけながら、つい「えい、えいっ」と声が出てしまった。お店のお姉さんに笑われた。だから機械はきらいだ。PASMOでお買い物したのは今日が人生で初めてだった。

『フライの雑誌』次号104号の原稿がぞくぞくと。わたしはひとり。次号こそは早寝早起きにかえないとまじ死ぬぞ、と毎回思いつつまた今号でもひどいことになりそう。ていうかなってる。

うちの小学生の座っている席の両サイドの児童が二人インフルエンザで姿を消したとのこと。「挟まれちゃった。やば。」と笑っている。たのむよ。

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