『フライの雑誌』では1997年の第38号で初めて管理釣り場をテーマにした「特集◎日本の釣り堀(管理釣り場)事情」を組んだ。1999年の第48号「特集◎ああ、管理釣り場(釣り堀)」では、さらにつっこんで、「どこが違う、管理釣り場(釣り堀)と一般釣り場(木住野勇 樋渡忠一 司会=中沢 孝)という座談会をやった。
2015年の現在とは、日本の釣り場の自然環境も社会状況も、まったくかわっているのは当然だ。
ニジマスは0・2~3キロが7400キロ、ブラウンは270キロ放されている。さらに試験的にオショロコマ385尾を放流した。この魚はイワナの仲間で低水温に強く、天然魚が釣れるのは北海道だけだ。芦ノ湖の環境に適合して、順調に育ってくれれば、今年の目玉になりそうだ。(スポーツ報知/2015年3月6日)
この記事を読んで、芦ノ湖はでかい管理釣り場だから。と整理できたとしても、では管釣りではない日本の内水面の釣り場は現在どれだけあるのか。となると答えはむずかしい。にわかに導けるものではない。
今までの本誌による取材経験をかんがみるに、芦ノ湖漁協はいろんなことを視野に入れ、あれこれと考えた上で、今回のオショロコマ試験放流に至っているはずだ。いわば芦ノ湖漁協が投げた石であり、チャレンジであろう。
スポーツ新聞の釣り記者は、「芦ノ湖でオショロコマが釣れる、すごーい。」と単純に喜んでいる。(ようにしか見えないでしょ) だが、漁協と一般の釣り人はもっと深い視点で、芦ノ湖の歴史と現状と未来をとらえていると思う。
そしてバランスのつけどころは、みんなで様々に議論していくしかないよね、ということになる。
単行本「イワナをもっと増やしたい!」、「魔魚狩り」、「桜鱒の棲む川」などが、釣りと社会との関係性をかんがえるための問題提起のひとつになればと思う。