北海道取材では季刊『釣道楽』編集長の

S氏の車で移動した。彼にはいつも北海道へいくたびお世話になっている。私と同世代のS氏は、記憶力が異常によい。とくに子どものころに読んだマンガにはものすごくくわしい。

その理由を本人に聞くと、「だって電気もない山ん中で育ったから、町へなかなか出られないんだ。たまに手に入った本を繰り返し読むでしょ。それでぜんぶ覚えちゃうの。」と言うが、幼少時代のテレビ番組も異様にくわしく覚えているので、やはり記憶力の問題というか、性格だと思う。

今回、いつものようにむかしのマンガやテレビについて二人で話して盛り上がっているとき、そういったことにはそこそこ詳しいと自負している私も彼も、すぽんと抜け落ちていた記憶があった。それは石森章太郎の〈サナギマン〉についてである。サナギマンが変身して何になるかを、二人して思い出せなかった。

サナギマンから成虫になって、どうも〈大人のバッタ〉になったような気がしてならない。でもバッタは不完全変態だからそれはちがうでしょ、と、どうでもいいフライマン二人の意見が一致した。石森章太郎が毎週毎週ちびっ子にまちがった知識を植えつけていたとは思えない。けっきょく車中ではサナギマンの謎は謎のままに終わった。

今日になり、ふとそれをおもいだして、この忙しいというのに仕事を脇において調べてみた。かつてはこんなことでも国会図書館へ行っていたが、いまはキーボードを叩けばたちどころだ。便利なんだかせわしないんだか、こりゃあ出版不況にもなるわけだ。不況じゃないのは村上春樹と『フライの雑誌』だけですね。

サナギマンが成虫になって何になるか、こんなことすら思い出せないなんてまったくなさけない。歳はとりたくないです。というわけで、いまの世の中に君臨するネット様(c.毎日新聞)が教えてくれました。なあんだ、ぜんぜんバッタじゃないじゃん。

それにしても仮面ライダーディケイド、おじさんにはわからないよ。あんな仮面ライダーはわかりたくもない。仮面ライダーはV3までなんだよ。